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春の食卓の写真

「春の料理に苦味を盛れ」 今が旬の山菜で心も体も春仕様に衣替え♪和を大切にするマナー講師が教える簡単なのに健やかに暮らせる秘訣

2022/04/15


みなさんこんにちは。
マナーOJTインストラクターの山田真由美です。

めっきり暖かくなり春本番となりましたね。
皆様いかがお過ごしですか?

この時期は体調を崩しやすい季節でもありますね。
ポカポカ陽気が続いたと思ったら、真冬並みの寒さに逆戻り。
翌週には一気に夏日にまで気温が上昇。この寒暖差に体が付いていけず、体調を崩すのも無理はありません。
寒暖差が大きいと自律神経が乱れ、疲れやだるさ気分の浮き沈みといった症状が出ます。

季節の変わり目の体調変化は、今まさしく体が春仕様に変わろうとしている合図でもあります。
そこで是非、ご家庭の食卓に取り入れていただきたいのが、春の食材を代表する山菜や野草です。
冬の間土の中で栄養分を蓄えていた山菜や野草には、体の調子を整える成分が含まれています。

マナー講師として、研修講師として普段は、サービス業の方々を中心に『思いやりの心を行動であらわす』マナーをベースに接客、接遇について教えている私たちJAMOIの講師。
それぞれがユニークな得意分野で活躍しています。

このコラムでは、和食と和の伝統文化で長年活動してきた山田真由美が、家族の健やかな毎日を応援する視線と和の伝統文化を大切にするあなたに、今このシーズンだからこそ味わえる情報をお届けします。

木々の新緑や草花が眩しい気持ちの良い季節。
ぜひ皆様の食卓にも春の食材を取り入れて季節を感じ、ご家族の心と体の健康に役立ててください。

「春野菜って苦い!」 実はとても重要だった苦味の理由

自然環境で自生している植物のことを山菜とよび、野菜とは区別されれいます。

例に上げてみると、ふき、ふきのとう、タラの芽、つくし、ワラビ、せり、ぜんまい、うど、野蒜(のびる)、つくしなど、たくさんありますね。

これら春を感じる山菜の多くのものには、独特の苦味があります。

この苦みが苦手で・・・とおっしゃる方も多いかもしれません。

山菜には苦味のもとになるポリフェノールやミネラルが豊富に含まれています。
ポリフェノールには抗酸化作用があり、活性酸素発生や、その働きを抑制したり、活性酵素そのものを取り除く効果があります。
抗酸化物質|e-ヘルスネット

また、苦味成分植物性アルカロイドは、腎臓のろ過機能を高め、新陳代謝をよくする働きがあると言われていますが、一方で、フキに含まれるピロリジジンアルカロイドは採りすぎると怖い影響もあるとのことで、しっかりとしたあく抜きをすることが推奨されています。
食品中のピロリジジンアルカロイド類に関する情報|農林水産省

この苦味は、私たちの体の調子を整える重要な栄養素ともなります。

昔から『春の料理は苦味を盛れ』とも言われます。
冬の間に動きがにぶった体を目覚めさせ、これからやって来る暑い夏に向け備えようという意味もあります。
雪の中から芽を出すフキノトウ
長野で生まれ育った私は、この時期になると、子どもの頃祖母について山菜取りに出かけたことを思い出します。
その頃の私は、山菜採りは楽しかったものの、これを喜んで食べる大人の味覚が理解できず不思議でたまりませんでした。

それが年齢を重ねるとともに「美味しい」と感じるようになり、それどころか苦味がないと物足りなく感じさえするようになりますから、これまた不思議なものです。

ちなみに、毎年山菜採りに出かけた人が、熊に襲われたというニュースを耳にしますね。
冬眠から覚めた熊も、芽吹いたブナの葉や木の新芽と共に、山菜も食べます。

冬の間に眠っていた体を山菜の苦味で目覚めさせることを本能的に知っているのでしょうか。
いきもの摂理を感じますね。

山菜採りに行かれる方は、熊と遭遇しないようにぜひ気を付けましょう。

食で季節を感じる「旬」を堪能しよう♪

「春は苦味」には続きがあります。
「夏は酸味、秋は甘味、冬は厚味」です。

これは、『夏は疲労回復のため酸味を採ると良い。秋はエネルギーを蓄えるため甘味を採り、冬は体を温めるため厚味を採ると良い』ことをあらわしています。
厚味とは、味がこってりしていて美味しいことをさします。

ことわざや、慣用句のように使われる文句ですが。
その季節になると、自然とこうした味を求めている。
そんな経験ありませんか?

体と食物は、季節感とは切り離せない深い関係があるなぁと、つくづく感じます。
食材だけでなく、調理法や器などでも季節感をふんだんに取り入れるのが日本料理の特徴です。

夏になると活魚の削ぎ身を冷水で洗って締める料理をガラスや竹の器を使って涼しげに演出、秋は朴葉焼き、焼き芋など落ち葉を焼いて作る料理もあります。
春の食卓の写真
料理に季節感を盛り込むことをこれほど大切にしている国が他にあるでしょうか。
和食は私たちが世界に誇るべき文化の一つですね。

あく抜きも意外と簡単!おすすめはやはりシンプル調理

かつてはその地域でなければ食べられなかった山菜などでも、現在は都市部でもスーパーなどで比較的簡単に手に入ります。

栽培されているものもありますが、値段も少々お高めです。
純粋に自然に生えたものが食べたければ、やはりその地域に行くほか、入手する方法はなさそうです。

春の野菜は、あくが弱いものから強いものまでさまざまです。
あくが弱いものであればお浸しなどにして簡単に食卓に並べることができます。

あくが少なく下処理の手間のいらないのが「屈(こごみ)」「芹(せり)」「野蒜(のびる)」などです。

屈は、「草蘇鉄(くさそてつ)」「鴈足(がんそく)」とも呼ばれています。
軽く茹でてお浸しにしますが、あくが少ないので胡麻和え・白和え、パスタに入れるなども美味しくいただけます。

春の七草のひとつである「芹(せり)」も、独特の爽やかな香りとキュキュっとした歯触りで、春を堪能できます。やはりシンプルにお浸しでたべるのがおすすめです。

比較的多くの場所で生息する野草の「野蒜(のびる)」も、茹でて酢味噌和えにするのがオススメです。

山菜ではありませんが、下処理いらず簡単なものでは、「菜の花」もあります。からしとの相性が抜群のからし和えは不動の人気です。
さらに、ここに小さくちぎった焼きのりを加え、磯部和えにしても美味しいですよ。

「蕨(わらび)」は屈と同様、シダ科の植物で代表的な山菜です。屈と違い、蕨はアク抜きが必要です。

蕨のあく抜きは決して難しいものではありません。
重曹を入れた熱湯に蕨を入れ一晩置きます。
ゆで汁から取り出し半日ほど水につけます。
しっかりあく抜きをしたいと思うあまり長時間つけすぎると、蕨がクタクタになり歯ごたえがなくなってしまうので注意します。
お浸しや煮浸しにしても美味です。

シャキッとした食感を楽しみたいなら「うど」は抜群ですね。
ウドのあく抜きもいたって簡単。
ウドは皮の近くにアクがありますので、桂向きの要領で厚めに皮をむいたら酢水にさらします。

ウドは捨てるところがありません。
皮をむいたものは酢味噌和えに、皮は千切りにしてきんぴらに、葉の部分は天ぷらにするのがオススメです。

これらのように、山菜や野草の独特の苦みや風味を味わうなら、やはりお浸しや和え物、天ぷらといったシンプルな調理がいちばんです。

買ってきたものや採取したものを30分程度水にさらし、シャキッとさせてから調理するのもポイントです。

ピロリジジンアルカロイド類は、水に溶けるため伝統的なあく抜きは安全性を高める観点からも有効だと言われています。
ふき・ふきのとうはあく抜きをして食べましょう|農林⽔産省消費・安全局農産安全管理課

もしも、「あく抜きなどの下処理が面倒で・・・」という理由でなかなか購入できないとしたら、とてももったいないです。
今回紹介したものは下処理の手間はほとんどありません。

山菜は水煮などでも売られていて、あくは完全に取り除かれていますが、同時に風味も飛んでしまいます。
独特の風味を味わいたければやはり生で売られているものにはかないません。
私が携わる料理屋では、筍など“えぐみ”をあえて残し、風味を残すこともあります。

あく抜きが不安、難しいと感じる方は、信用できる昔からある料理屋さんに食べに行くのもお勧めですね。
プロが綺麗に美味しく料理してくれます。
安心でもあります。

また、山菜採りもおすすめですが、地方に行くときには必ず現地に詳しい方に付き添ってもらいましょう。比較的都心に近い地域でも山菜や野草を採取できるところはあります。

そんなときも、ぜひ詳しい方にと一緒に行って、食べてはいけないものを誤って採取しないように、熊などにも遭遇しないように気を付けましょう。
ワラビのたたき
季節ごとに旬を味わうことは、昔から伝えられてきた和食の原点です。
現在は多くの食材が季節を問わず入手できる幸せな時代です。

ほとんどの食材には、もっとも美味しく栄養価が高い旬があります。
中でも春の山菜などは、ほかの季節に味わうことがほぼ不可能です。

是非、春の苦味を味わって、日本の四季に富んだ豊かな自然が作りだす恵みを堪能してください。そして季節の変わり目を心も体も健康で乗り切りましょう!

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日本マナーOJTインストラクター協会
マナーOJTインストラクター 山田真由美

講師 山田真由美 blog

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