レディファーストを受けるときの女性のマナーと美しい振る舞い方とは?
2019/02/22
みなさん、こんにちは。
トップマナーOJTインストラクター 石井 由美子です。
外国人の男性上司にドアを開けられ、「お先にどうぞ」という仕草で促されて、どぎまぎした経験はありませんか?
あるいは、男性上司や夫と海外で素敵なレストランに行ったときに、男性があなたを置き去りにして店内をスタスタ……。周りからは、「粗野な男性……」と思われることもあるそうです。
日本人はマナーが良いと言われますが、レディファーストに関してはまだ不慣れなところがありますね。
レディファーストは、ヨーロッパの貴族や上流社会において、もともとは淑女教育、つまり女性側のマナーとして考えられていました。女性の身分は低く、女性が先に準備をして男性を迎えることなどが「レディファースト」でした。
それが、今では、男性が女性に対してとるべき行動と捉えられています。弱者である女性を助けること、あるいは淑女(レディ)を崇高なものとして扱う「騎士道」から来たものと言われます。
時代が進むに従い、男女平等の考えから「レディファーストは差別である」とし、よしとしない考えもあります。けれども、欧米社会や国際マナーでは、レディファーストは今なお習慣や当然のマナーとされています。
レディファーストは、“あなたをレディとして扱いますよ”ということ。
今日は、自然なレディらしい振る舞いについて、お伝えします。
レディな振る舞い ドアを支えってもらったら
男性にドアを開けられ、「お先にどうぞ」という仕草で促される。欧米ではごく当たり前に見られる光景です。
そんなとき、「あっ、すみません」とぺこぺこお辞儀をしたり、「いえいえ、お先にどうぞ」と手で示したり、固くなったり……。客観的に見ると、あまりスマートとは言えませんね。
日本では、男性上司の前に出て自分が真っ先にドアを開け、上司が通ったあとに後ろをついていくのが一般的ですから、不慣れであっても仕方ありません。
では、どのような態度がスマートに見えるでしょう。
もし、会議室のドアを開けてもらったら、「ありがとうございます」と言って自然にほほえみ、姿勢よく優雅にお先に通りましょう。車のドアを開けてもらったら、目礼しましょう。
また、あなたの夫や上司がドアを開けて手で支えるときは、少しだけ開けるのではなくフルオープンにして、女性が通りやすくするとスマートに見えることを伝えてあげてください(開けてくれたけれど、狭くて相手やドアにぶつかりそう……なことってありますね)。
以前にこんな光景を見たことがあります。
地下鉄から外に出る重いガラス戸を開けて通るときに、目の前の若い日本人男性が、前の人が開けたドアの隙間を、手も使わず、猫のように体をよじり、するりと抜けていったのです。そのしなやかさに驚きつつ、ガラス戸はわたしの目の前に勢いよく戻ってきて、のけぞったことがあります。後ろの人のことは何も考えていないですね。
同じような状況で、ロンドンでジーンズ姿の若い男性が、ドアをフルオープンにし、しかもドアの向こう側に回って笑顔でドアを支えてくれたことがあります。まだ10代に見えましたが、ジェントルマンですよね。
レディな振る舞い 道を歩くときは?
エスコートは、レディファーストでは大切な要素です。
道路を歩くときは、男性が車道側を歩き、女性をひったくりや事故から守ります。日本では、男性が先に歩いて行ってしまい、女性が追いかけるというカップルもありがちですが、女性がひとりで歩いているほうが狙われやすいでしょうから、男性が寄り添って歩くことは危険の予防になります。
また、女性はショーウインドーに気になるものがあれば、つい男性に声をかけないで見入ってしまうこともありますね。先に歩いていた男性が、数メートル先でやっと気づくこともあります。そんなときは、やはり一声かけるのがレディのマナーです。
夫と海外のモールを歩いていた時のことです。
前を欧米人と思われるカップルが歩いていました。そのうち、ふと女性が店頭の品物に目を止め、立ち止まって見ていました。男性は数メートル先まで歩いてから気づき、戻ってきました。
夫は、「海外でも女性はああやって、急に止まるんだな」と一言。それを聞いて、「ああ、ちゃんと言ってから止まらないといけないのだ」と思いました。「けれども、男性も声が届くくらい近くにいてね」とも伝えたたことを思い出します。
レディの振る舞い 一流レストランに入ったら?
男性上司や夫と海外で一流レストランに入ったら、あなたを置き去りにして歩いていかないように、ちゃんと伝えておきましょう。レストランの受付で名前を告げるのは、男性の役目です。その後、スタッフに案内されて、先に歩くのは女性。女性はレストランでは主役なのです。
案内されたテーブルでは、女性が眺めのいい席や、奥の上席に座ります。座るときはスタッフが女性の椅子を引いてくれるでしょうが、男性は同伴の女性が座ってから着席します。
ワインのオーダーは男性が行い、テイスティングも男性ですが、「このワインでOK」を示した後、ソムリエがワインを注ぐのは女性のグラスからです。日本では、酒席で女性が男性にお酒を注ぐことがありますが、欧米社会では女性は男性にお酒を注いではいけません。
フランスで、女性3人でレストランに行った時のこと。
グラスが空いたのになかなか気づいてくれないソムリエ。わたしたちがこっそりお互いに注ごうとすると、ソムリエが飛んできて、お茶目な表情で「ノンノン」とワインボトルを取り上げました。女性同士でも、女性はお酒を注いではいけないのです。
これからはグローバルなお付き合いが増える社会になっていくなか、女性は、レディファーストをスマートに受けることが必要となります。大人の女性として、「レディファーストは相手からの思いやり」と受け止め、落ち着いて優雅に、また凛として振る舞いましょう。
このときは、男性も女性も、アイコンタクトと笑顔を交わすことが、お互いの関係をよりスマートにスムーズにしていきます。
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講師 石井 由美子blog