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お盆の帰省のときに困らない!宗派で違うお盆のマナーの基礎知識

2018/07/10


みなさん、こんにちは。
トップマナーOJT インストラクターの東 節子です。

お盆の季節が近づいてきました。今やすっかり日本の夏の風物詩となっている「お盆」の行事ですが、その時期や供養の方法などは、地方によっても宗派によっても随分違います。実家では簡単に済ませたのに、婚家では、こんなことをするの?と戸惑われた方も多いのではないでしょうか。

今日は「お盆」について、基本となる考え方と、地方や宗派による違い、そして仏間で拝むときに気をつけなければならないことの3点についてお伝えいたします。

お盆ってそもそも何? 先祖への感謝と供養の行事

「お盆」とは、仏教の言葉で、正式には「盂蘭盆会(うらぼんえ)」といいます。「ウラバンナ」という「逆さ吊り」を意味するサンスクリット語の音写からきたと言われています。

釈迦の弟子が、逆さ吊りにされるような苦しい地獄に落ちた亡き母を、周囲の人々に施しを与えることにより天上界に浮かび上がらせました。師である釈迦の教えに従った功徳でしたが、これがお盆の供養の始まりだそうです(このとき喜びのあまり踊ったのが「盆踊り」の始まりという説もあります)。

お盆には先祖や亡くなった人が生前に過ごした家に帰ってくると言われています。ご先祖様の霊を迎えて、極楽浄土で幸せに暮らしていただけるよう、また我々が祖先の霊に守られて幸せな生活が送れるよう、感謝と供養をするのがお盆なのです。

時期も供養の方法もこんなに違う、お盆の法要

お盆には「新のお盆(7月盆)」と「旧のお盆(8月盆)」、さらには旧暦による旧盆の三つの時期があります。

東京・横浜などでは、新暦盆である7月13~16日にお盆の行事を行いますが、それ以外の多数の地域は月遅れの8月13~16日にお盆を迎えます。

また、供養の方法も宗派によって差があります。

浄土宗では、扉を閉めた仏壇の前にお飾りを並べて祭壇を作ります。早く家に帰れるようにきゅうりで「精霊馬」を作り、ゆっくりあの世に戻れるようにナスの「精霊牛」も飾ります。

一方浄土真宗では、故人の霊が戻ってくるという概念はないので、盆飾りや迎え火などはありません。でも「盆提灯」は灯すという地域は多いようです。

曹洞宗では、まだこの世に未練のある家族が返ってくると考え、魚や肉以外の和食メニュー三食とおやつで持てなします。

このようにお盆の行事は多様ですが、地方や宗派を超えても、「家族で受け継がれた習わし」は最も大切にするべきものです。婚家の宗派についての基本的な知識は必要ですが、お盆の迎え方などは知らないことがあっても当然です。「教えてください」と謙虚な気持ちで尋ねましょう。無視や知ったかぶりはNGです。

(参考) お盆の時期

お盆の日時 採用地方
新暦盆(7月盆)  7月13~16日 東京(多摩川地区の一部を除く)、横浜、南関東、静岡や金沢の旧市街地、函館など
8月盆・月遅れ盆 8月13~16日 上記以外の多くの地域
旧盆 旧暦によるお盆、8月20日前後
(毎年時期が異なる)
中国・四国の一部、沖縄、奄美など西南諸島など

(参考) お盆期間中の主な行事

8月13日 迎え日(精霊迎え)~迎え火 夕方、または夜に迎え火をして祖霊を迎える
8月14日・15日 中日~墓参・法事など 仏壇に供え物をして迎え入れた祖霊の供養をする
8月16日 送り日(精霊送り)~送り火 精霊送りの送り火をして送り出す

仏前でのお作法、気をつけたいことは?

お盆の期間には、親族で法事を行うこともあります。婚家の仏前に座ったとき、気をつけたいことを3つお伝えします。

○仏壇用のお座布団の扱い方
座布団の縫い目のない方を仏壇側に、房のついている表を向けて置きます。
「御前座布団」などと呼ばれる大きく豪華な座布団は、お寺様用ですので、自分が拝むときは横にずらして畳に座ります。普通の座布団であれば座っても構いません。

○お供え物、金封紙を置く向きは?
お参りする者(自分)から見て、表書きが読める方向にして置きます。
お供え物は、自分が差し上げるのではなく、自分に向けられた仏様からのお慈悲ととらえます。ですから、お供え物は仏様の方に向けるのでなく、仏様から私たちの方に向けられた形に供えます。
また、お数珠や経本は、床や畳の上に直には置かず、テーブルや敷物、数珠入れの上に置きましょう。

○鈴(りん)を打っていいの?
鈴は、本来は読経の始まりや区切りを告げるためのものです。厳密には、合掌するだけで読経しないなら使いません。鳴らす場合も、回数や叩く場所まで決まっている宗派もあります。
真言宗は2回、曹洞宗は2~3回、浄土宗・浄土真宗は、ともにお経をあげずに礼拝のみの場合には鳴らさないのが基本です。家族の方に、事前に確認するほうが良いですね。

最近は、手を合わすだけでも鈴を鳴らす人が多く、その作法も寛容になっているので、鳴らしても咎められることは少ないでしょう。鈴の澄んだ美しい音は、極楽浄土の仏様の耳にまで届き、また人々の邪念を払うともいわれています。鳴らす時には気持ちがしっかり届くように心を込めて鳴らしましょう。

知らないことが多いお盆の知識、いかがでしたか?
有名な長崎の精霊流しや京都の五山送り火、また各地で行われる盆踊りもすべて「お盆」の風習です。
形はいろいろありますが、大切なことは「ご先祖様を供養し、感謝する気持ち」です。
基本の知識やマナーを身につけたうえで、先人に乞うた教えを形として継承していくのも、立派なご先祖供養の一つではないでしょうか。

良いお盆をお迎えください。

心地よい人間関係を築くヒントをお届けする「Manner Up Magazine(マナーアップ マガジン)」
思いやりの心を行動で表したい方のお役に立てれば幸いです。

このマナーについては、#マナーコース #マナーOJTインストラクター

日本マナーOJTインストラクター協会
トップマナーOJTインストラクター 東 節子

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