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お祝いの食卓イメージ写真

門出を祝う♪縁起物と室礼(しつらい)でおうち時間お祝いを全力応援!

2022/03/11


みなさんこんにちは。
マナーOJTインストラクターの山田真由美です。

入学、進学、就職と、希望に胸を膨らませる季節がやってきましたね。
学生だけでなく社会人にとっても、昇進や栄転、定年退職をして第2の人生をスタートさせるというご家族がいるかもしれません。

本来であれば、新たな門出を祝い、家族そろって少し贅沢に高級料理店にでも…と、いきたいところですが、現在の状況下でなかなか難しいと感じているご家庭も多いはず。
かといって、なんとなくこの時期を過ごしてしまってはとてももったいないですよ。

嬉しい家族の門出、おうちでできることを取り入れて、大切な人の背中をググっと押してあげましょう♪

松竹梅 意味を知って幸せを寿ぐ食卓

『松竹梅』、『鶴亀』などハレの日には欠かすことのできない、縁起物はたくさんありますね。

おうちでお祝いをするとき、食卓にこうした縁起物を取り入れるとグッと華やかでかつクラシカルな趣ある、お祝いの食卓になります。

『松竹梅』はお正月だけでなく、婚礼や長寿の祝いなどで一年を通して登場します。
飾りだけではなく、鰻専門店や料亭などでは、料理のランクを表すのにも用いられます。

「松は値段がはるし、梅よりも少し贅沢したいな。じゃ『竹』にしておこうか…!」こんな風に悩んだ経験、皆様にもあるのではないでしょうか。

こういう場合、松竹梅に序列があり、あたかも、松>竹>梅のような順番があるようですが。
松、竹、梅には、そもそもランクの意味はありません。
松竹梅は、それぞれにそれぞれ特有の深い意味があります。

松は、昔から神が宿る木として神聖なもの、ありがたいものとされてきました。
お正月に年神様を迎える門松やしめ飾りにも松は欠かせませんね。

一年を通して葉の色が変わらないのも松の特徴です。
常緑樹の松の青青しさは『不老長寿』を想起させ、めでたいものとして受け止められています。

また松の葉は、枝の一節からたくさんの葉が芽吹きます。
くるくると周囲を一周するように、次々と葉が出てくる様は、一家団欒をイメージさせるようです。また、落ちるときも葉が2枚向かい合ってくっついている様子は夫婦円満の印ともされています。

不老長寿で、家族仲よく、いつまでも一緒。
そうした願いを込めて、松を飾るとよいですね。

一方竹はしなやかでまっすぐ育ちます。
竹も常に青さを失わない植物で、「タケ」というその発音からも猛々しさの象徴とされます。

成長速度が驚くほど速い竹は、健やかな成長を願う際にもうってつけです。

元気で、青々しく、すくすく育ってほしい。
そんな願いを祝う席に、ぴったりですね。
竹ののびる様のイメージ写真
そして梅。
梅は高潔・節操・清純の象徴とされています。
これは梅の花ことばにも表れていて、『優美』『気品』『高潔』など種類によって様々な花言葉があります。

まだ寒い時期に、ほかの樹木に先駆け花を咲かせ香ることから、逆境に耐え花開くその様子からも縁起の良い花とされてきました。
冬の寒さが厳しければ厳しいほど、春先に咲く梅の可憐な様子に強い生命力を感じられ、励まされる。
そんな思いを象徴していますね。

梅は繁殖力が高いことから子孫繁栄を、梅干しの皺は長寿の相を表すとされていて、子孫繁栄、長寿を喜ぶ席にもってこい。
長く生きて来られた方の、苦難も、長い道のりも含めて讃える長寿のお祝いの席には最適なモチーフですね。

松竹梅の意味を考えたとき、子どもの成長を喜ぶお祝いであれば竹がうってつけ。
家族が集まるのであれば、一家団欒を象徴する松など、目的にあわせた飾りつけはいかがですか。

この際も、無理に買い求めるのはなく、庭先にある葉を摘んで『あしらい』とするのもよし、松竹梅の絵柄がついた食器や箸置きなどを使ってもいいですね。

私は現在、仕事で和食に携わっていますが、恥ずかしながらこの仕事に携わる前は、当然のように「松」がいちばん上のランクだと思いこんでいました。

自社の宴会料理の中で、梅が最高ランクに設定されていたのを見て、チラシのミスプリントだと思い指摘したことは、なんとも恥ずかしい思い出です。

出世魚で 門出や出世をお祝いしよう

日本には稚魚から成魚となるまで、成長に応じて呼び名が変わる魚がいくつかあります。
武士の時代、成人すると幼名からおとなの名前に変わり、出世するとさらに名前が変わるという慣わしがありました。
そんな背景から、成長にともなって名前が変わる魚を『出世魚』といいますね。

代表的なものには、
コッパ→セイゴ→フッコ→スズキ(鱸)、
シンコ(新子)→コハダ(小鰭)→ナカズミ→コノシロ(鰶)
ハク→オボコ→スバシリ→イナ→ボラ(鯔)→トド

なじみが深い鰤(ブリ)は、地域によって呼び名が変わり、関東地方ではワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ、関西ではツバス→ハマチ→メジロ→ブリが一般的です。

ぜひ、出世を願って、または出世のお祝いには、この出世魚を供してみるのはいかがでしょう。
魚です。出世魚です。
淡白な鱸(スズキ)は、煮つけやムニエルなど様々な料理に活用できます。
スズキの旬は夏から秋。
夏のシーズンの出世を祝うシーンではうってつけですね。

鯔(ボラ)はくさみが強く敬遠してしまいがちです。
新鮮なものなら比較的くさみも少ないので、試してみてください。

ボラの旬は冬。
冬であればボーナスが出たや、新年度から役職がつくなどの内示があったなどのタイミングで、新鮮なボラを探してきて、ご賞味されるのも一風変わった思い出深いお祝いの卓になるかもしれませんね。

今、この春先の時期にオススメしたい出世魚は、やはり鰤(ブリ)ですね。
ブリの旬は冬ですが、春先に『名残の寒ブリ』を照り焼きで食べるのは最高です!

室礼(しつらい)でも気分を盛り上げよう♪

日本には昔から年中行事や季節を、飾りや調度によってふさわしく整える『室礼(しつらい)』という文化があります。
心得るべき礼儀作法の一つでしたが、時代の流れとともに今ではいくぶん簡略化されています。

季節の花を飾るだけでも立派な室礼です。
春に咲く花には門出を祝う素敵な花言葉が付いているものがたくさんあります。

代表的なのはスイートピーです。
花言葉は、『門出』と『優しい思い出』です。
歌謡曲のイメージも手伝って、春、卒業式に贈る代表的な花となっていますね。

その他にも、ガーベラは「希望」「前進」、青いバラは「奇跡」「夢がかなう」など、この時期にぴったりな花言葉をもつ花はたくさんあります。

お花はプレゼントにも最適です。
お部屋に飾れば、新しいスタートに気持ちもアップすること間違いなしです。

また、お祝いの席を設けられる際にも、花言葉を添えて室礼(しつらい)としてお花を飾れば、お祝いされる方を思いやるあなたの気持ちがより届くでしょう。

昭和の時代を過ごした世代にとって、多くの方がスイートピーといって真っ先に思い浮かぶのは松田聖子さんの「赤いスイートピー」ではないでしょうか。

なんとも春らしい歌詞ですが、当時は花言葉まで考えたことはありませんでした。
スイートピーの花言葉「門出」が意味するように、今でも旅立ちの季節に聞くと心が躍る1曲ですね。
スイートピーの写真
門出を祝う縁起物は、日本人が昔から大切にしてきた「自然を尊ぶ気持ち」がもとになっています。
寒い冬でも緑の葉を保つ松や、驚きの速さで成長する竹、寒い中でも健気につぼみをつける梅は、昔から尊ばれてきました。

そしてそうした縁起物を特別な日に取り入れるのは、昔も今も変わらない大切な人に幸せになってほしいという思いやりの心からの行動です。

豪華でなくても大丈夫。
食卓や部屋に取り入れて、ぜひそこに込められている意味を分かち合ってみてください。
新しいスタートを切る大切な家族の背中を押し、全力で応援してあげたいものですね。

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マナーOJTインストラクター 山田真由美

講師 山田真由美 blog

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