心が伝わる“おもてなし” 準備とお見送りのポイントは?
2018/04/17
みなさん、こんにちは。
マナーOJTインストラクターの赤名麻由子です。
新年度を迎えて新しいお友だちができたり、新しいお付き合いが始まって、ご自宅でおもてなしをしたいと思っていらっしゃる方、2020年の東京オリンピックでは海外からのお客様をおもてなししたいと思っていらっしゃる方、さまざまにいらっしゃると思います。
“おもてなし”は日本特有のコミュニケーションを表す素敵な言葉ですよね。
今日は、もてなす側の心持ちと、おもてなしのちょっとしたポイントについて、お伝えしたいと思います。
“おもてなし”とは何? 心の持ちように目を向けて
“おもてなし”という言葉はよく耳にしますが、どういうことをおもてなしと言うのでしょうか。おもてなしの語源は2つあります。
お持て成し …… 物を持って事(お客様の対応)を成す。に丁寧語の“お”がついたもの。
表裏なし …… 表裏のない心でお客様の対応をする。
この2つが由来とされています。
英語に訳せば、Hospitalityホスピタリティが最も近く、「相手に対して見返りを求めず、親切に応対すること」が、いちばんしっくりくる言葉かもしれません。
“おもてなし”は客と提供者の関係で成り立つサービスと違い、もてなす側も、もてなされる側も、対等な関係で成り立っています。みなさんも、ご自宅にいらっしゃったお客様にお金を請求しようとか、お茶やお料理を提供したからこれをしてもらおう……という気持ちでお客様をお迎えしないですよね?
「お見えになったお客様に笑顔になってもらいたい」「一緒に過ごす時間を大切にしたい」と思ってお迎えの準備をし、時間をともに過ごすという行動が、“おもてなし”なのです。
玄関と水回りのお掃除と、+アルファの気持ちを表して
お客様をご自宅へお迎えする場合、ここだけは最低限気をつけたいことがあります。それは玄関と水回りの清掃です。
お客様の目に触れ、手が触れるところは、清潔にしてお迎えしましょう。玄関チャイムのボタン、ドアノブなどはお客様が最初に触れるところですから、忘れずに。手を洗った後の手拭きタオルに清潔感が感じられなかったり、お手洗いを使用したあと、トイレットペーパーが残り少なかったためにお客様が困った思いをした、などがないように気をつけます。
あとはお客様のお見えになる時間帯や目的に合わせて準備をしましょう。その時、何か一つでもいいので(自分のできる範囲で)、お客様を思い、“お客様の笑顔”が想像できたことを形にしてみて下さい。
お花が好きな方でしたら、好きな色や季節のお花を飾る。何度か一緒に出かけたことがある方でしたら、想い出の写真を飾るのはいかがですか? お互いをまだ良く知らないというお客様には、季節を感じられるものをお料理やお茶菓子で演出し、楽しんでいただくのもいいですね。ちょっとした席札やイニシャルを取り入れることも、お勧めです。
相手を思う気持ちを形に表してみましょう。
外でおもてなしをする場合は、お店選びもお客様を主体にして選びます。自分がお勧めのお店だからといって、足が悪いお客様なのに座敷しかないお店だった……といったことがないようにしましょう。苦手な食べ物やアレルギーなどがないかも、可能な限り伺ってから決めるといいですね。
期待を超えたお見送りで、おもてなしの締めくくりを
私は以前に企業館でご案内の担当をしていたことがありますが、来館されたお客様をお見送りする際は、お客様の姿が見えなくなるまで手を振り続けていました。
歩いていらっしゃった方も、バスでお見えになったお客様も同様でしたが、ある程度距離が離れてもチラっと振り向かれる方がいらっしゃいます。そのときに、まだ手を振る姿を見つけたときの笑顔は本当に嬉しそうでした。御礼のお手紙を頂戴したときも“ずっと見送ってくれて嬉しかったです”というお言葉をたくさんいただきました。
「ここまでは見送ってくれるかな?」というお客様の期待を超えて見送りをする姿から、ご案内担当者の“あなたとお別れするのが名残惜しい”という気持ちが伝わったのです。この名残惜しさをお客様に感じていただけるかが大切なのです。そして、お客様の期待するお見送りの範囲を超えることによって「こんなに大切に思ってくれたんだ」「また会いに来よう」とお客様に感動が生まれます。
“終わり良ければすべて良し”という言葉もありますが、最後のお見送りでその感動をお客様に感じていただけるかどうかが、おもてなしの成功を決めると思います。
2020年の東京オリンピックに向けて、これからさらに“おもてなし”という言葉を目にし、耳にすることが増えると思います。
海外からいらっしゃるお客様を日本にお迎えし、おもてなしするにはどうしたらいいのか、悩まれる方もいらっしゃるかもしれません。けれども、ご自宅にお客様をお迎えする気持ちとなんら変わることはないのです。お客様が笑顔になることを第一に考える。一期一会を大切にする。そのためにできることは何かを考えましょう。
それでもわからないことや、こんなときはどうしたら良いんだろうという疑問がありましたら、ぜひおもてなしのプロである私たちに聞いて下さいね。
心地よい人間関係を築くヒントをお届けする「Manner Up Magazine(マナーアップマガジン)」
思いやりの心を行動で表したい方のお役に立てれば幸いです。
このマナーについては、#ソーシャルマナー #インバウンドコーチ
日本マナーOJTインストラクター協会
マナーOJTインストラクター 赤名麻由子
講師赤名 blog