「この人に会ってみたい!」と思わせる電話応対 心に残るプラスαの気遣い3つのポイント
2018/10/30
みなさん、こんにちは。
トップマナーOJTインストラクターの 東 節子です。
携帯電話やメールが普及した昨今でも、会社での電話応対は、ビジネスマナーの重要項目です。今日は、電話応対の基本と、「この人に会ってみたいな」と思われるような印象に残る応対のポイントをお伝えします。
電話応対の基本は、電話の特性を考えることから始まります。
第一に、電話は「かける側が優位」です。相手にとっては一方的、半強制的なものとなるので、はじめに「いま、お電話でお話してもよろしいですか?」と相手の都合を確認するのがマナーです。「10分くらい」など、時間の目安を伝えると親切です。
また、かける時間帯にも配慮しましょう。始業直後や退社前の忙しい時間、昼休みなどは避けたほうが望ましいです。どうしてもその時間にかけなければならない場合は、「朝早くから(お昼時に)失礼いたします」と一言添えましょう。
第二に、電話は公共性があり、しかも有料です。
会社の電話は、当然のことながら会社の備品、皆で使うものです。要領よく手短に話しましょう。長電話は、相手の方の貴重な時間を奪うことにもなり、マナー違反です。
電話が長くならないように、かける際は、相手の情報や質問事項の書き出しなど準備はしっかりとしておくこと。受けた電話でも、自分で対応できないと思った場合は、早めに担当者に引き継ぐことです。
第三に、電話には記録が残らないという弱点があります。片手に受話器、片手(利き手)にペンを持ち、メモをとりながら応対しましょう。
以上は電話の特性を考慮したビジネス電話の基本ですが、さらに電話応対を印象的なものにするために効果的な3つのポイントをお伝えします。
「声」で好印象を!明るくはっきり聞こえるように一音上げて
第一印象が決まる要素は、半分以上が視覚情報と言われています。その視覚情報が電話にはありません。つまり、どんな表情で、どんな格好で話をしているかは、相手にはわかりません。電話口から聞こえる「声」だけが頼りなのです。
実は、私は地声が低く、若干ハスキーで、昔から無防備に電話に出ると必ず「寝起き?」と聞かれたものでした。そこで、電話の受話器を上げるときは、いったん深呼吸をして、少し高めの声を出そう、と意識するようになりました。
普段の私たちの話し声は、音階では「ミ」の音くらいと言われています。声が聞き取りにくい電話では、それを一音上げた「ファ」の音で話すとちょうど良いそうです。
(「ミ」からに限らず、「ド」の人は「レ」で、「レ」の人は「ミ」でOKです)。
絶対音感がなくても大丈夫! 私はかつて、研修でリコーダーやハーモニカを持っていき、その音に合わせて声を出す練習をしてもらっていました。今は、スマホで簡単に音が取れます。
iOSのアプリ▼
https://itunes.apple.com/jp/app/the-piano-keyboard/id1171389552
Androidのアプリ▼
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.cyandroid.piano&hl=ja
「ミ」の音と「ファ」の音でいう「こんにちは」、ぜひ一度聞き比べてみてください。違いがよくわかると思います。ちなみに、少し遠くに離れている人に声をかける時は「ラ」くらいになるそうです。
相手が目の前にいるつもりで、相手の心情にあった表情・姿勢で応対を
音階を取るのが難しくても、相手の顔を浮かべながら、口角を上げて笑顔で声を出すと、それだけでも明るく聞きやすい声になります。私たちは、それを“笑声”と呼んでいます。
某有名化粧品会社での逸話ですが、テレフォンオペレーターの方々の電話機の前に鏡を置くと、成績が上がったそうです。いつも自分の顔が見えたら、きっと良い顔をしようと意識しますよね。それだけで、コミュニケーションが良くなるのです。
姿が見えないとしても、口角を上げ、笑声で話すのが基本です。
一方、クレーム電話のときは、受話器の前で本当に頭を下げて汗をかきながら謝っている人と、椅子に腰かけて顎を上げてふんぞり返りながら謝罪の言葉だけを繰り返す人、どちらが気持ちが伝わると思いますか?
もちろん前者ですね。大きくお辞儀をすると、受話器が口元から離れ、言葉が聞き取りにくくなりますが、少しくらいの動作なら、その抑揚が感情として伝わり、臨場感が増します。
相手のことを思い浮かべて、話の内容、相手の気持ちに応じた姿勢や表情で話をすることで、気持ちはより強く伝わります。「事務的な応対」ではなく、「相手に寄り添う電話応対」のための方法です。
最後にガシャッと切っていませんか? 電話の切り方も大切
せっかくいい感じに話が進んでも、最後の切電のときにがっかりさせられることがあります。こちらがお客様なのに向こうからすぐに切ってしまったり、受話器を乱暴に電話台に置き、「ガシャ」という音が耳に残ったり……。電話も、最後の所作で印象が大きく変わります。
私の今の取引先の中で、必ず最後に「ガシャッ」と切る女性がいます。これは、相手に「そんなに急いでいたのだろうか? 何か不快なことを言ってしまったのだろうか?」など考えさせてしまい、後味が悪くなりますね。
電話を自分から切るときは、受話器を置く前に手でフックを押して切り、その後、受話器を静かに置くようにすると、スマートです。
相手が先に切るときは、切ったのを確認してから静かに受話器を置くようにします。
ビジネスでは、「電話をかけた側が先に切る」のがマナーです。ただし例外として、相手がお客様や目上の方の場合は、自分からかけても先には切らないほうがいいですね。相手が切るのを待ってから、自分の電話を切るようにしましょう。
電話応対の良し悪しは、受付と同様、会社の印象を大きく左右するものです。
ビジネス電話において求められるのは、正確さと簡潔さ、そして好感度です。あなたらしいあたたかさや、思いやりをプラスして、「この人に会ってみたい!」と思われるような電話美人(美男)を目指しましょう。
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