新社会人のためのマナー~職場の人に出す年賀状 注意したい3つのポイント
2018/11/23
みなさん、こんにちは。
トップマナーOJTインストラクターの 東 節子です。
今日11月23日は働く人に感謝を捧げるとされる「勤労感謝」の日です。今年入社されたばかりの社会人1年生の皆様、日々のお仕事お疲れ様です。
さて、今年もあと一カ月と少しを残すばかりとなりました。会社に入って初めての年末年始、「会社の人への年賀状はどうしよう」と悩んでいる方はいらっしゃいませんか?
年賀状の由来は、「年始の挨拶回り」です。年始にお世話になった方に挨拶に回るという、古くは平安時代からあった慣習が、遠方で訪問できない場合に文書の挨拶に形を変えたものが始まりと言われています。
メールが普及した現在でも、今年2018年の年賀状の販売枚数は約24億枚、国民1人当たりの購入枚数は19枚だそうです。私製はがきも入れるともっと増え、やはり年賀状は日本の一大文化といえると思います。
社会人として年賀状を出す場合は、ビジネスマナーを意識する必要があります。
今までは、年賀状は出さず、「アケオメ」メールですませていた、または何も意識しないで書いていたという人も、せっかく書くなら、良い印象を持ってもらえるような年賀状を出したいですね。
今日は、職場の方に出す時に気をつけなければならないことを3点お伝えします。
会社の人には、出す方がいいの?誰に出せばいいの?
元々年始の挨拶の意味合いのある年賀状ですので、自分がお世話になったと思う方、これからもよろしくとお願いしたい方へは、気持ちのままに出してよいと思います。でも、職場は集団生活の場でもありますから、まずは今までの慣習を先輩方に確認してください。
「虚礼廃止」などというお達しがあり、年賀状やお中元、お歳暮などがすべてNGとなっている会社もあります。そんな場合は、従うのがマナーです。
(注:「虚礼廃止」とは、形だけで心のこもっていない、意味のない儀礼はやめる、という意味の表現。年賀状や、贈賄に繋がる政治家への中元などについて言う場合が多い。 実用日本語表現辞典 Weblio辞書より)
年賀状を出す場合は、部や課など、自分の所属しているチームと人数を考えて慎重に決めましょう。同じチーム内で、出す人と出さない人を作ると、あとで気まずくなる場合もあります。最小の単位は全員に、が無難ではないでしょうか。
上司も「お世話になった方」を基本に考えるといいと思います。大きな会社で本社の社長にはお目にかかったことがないような場合は不要でしょうが、社長がいつもオフィスにいて一緒に仕事をしているようなケースでは、ぜひとも送りたいですね。
友人に出す年賀状と同じでいいの?
年賀状の基本は、以下のような構成です。
1.賀詞 無事の越年を喜ぶ言葉
2.日ごろ(昨年)のお付き合い、お世話になったことへの感謝の言葉
3.今後(今年)の指導や親交を願う言葉
4.相手の相手の健康や幸福・繁栄を願う言葉
5.年号、日付
ここまでは、印刷の定型を使われる方も多いと思います。手書きの場合もすべて書く必要はないですが、1.の賀詞は必ず入れなければなりません。
ところで、この賀詞に格付けがあることはご存知でしたか?
いちばん丁寧で目上の人に使うのに最適なものは、4字の賀詞と言われています。
元来、賀詞の基本は4字で、「謹(つつしんで)」「恭(うやうやしく)」「敬(うやまい)」「頌(ほめたたえる)」などの敬意とへりくだりを表す言葉が使われてきました。
「謹賀新年」「恭賀新年」「敬頌新禧 (けいしょうしんき)」などが代表的なものです。
また、文章で「謹んで新春のお慶びを申し上げます」などとしても同等です。
一方、よく見る2字や1字の賀詞は、「お正月を祝う、喜ぶ」という意味だけなので、友人や目下向きとされています。
賀正・賀春(正月を祝う、新年を祝う)
頌春(しょうしゅん:新年をたたえる)
慶春・寿春(けいしゅん・じゅしゅん:新年を喜ぶ、祝う)
賀(祝い)、寿(めでたい)、福(幸せ)、禧(よろこび)
賀詞の重複も、よく見かけます。
「謹賀新年」の後に「明けましておめでとうございます」と書くと、重なっています。
「新年 あけましておめでとうございます」も諸説あり徐々に容認されつつありますが、やはり重複ととる人が多数です。
また、近況報告や個人的な情報は、年賀状だけのお付き合いの方や親しい友人には書いてもよいですが、職場への年賀状では考慮が必要です。昨年の振り返りと新年への決意を簡潔にしたためる程度がおすすめです。
家族写真、スナップ写真も、職場、特に上司向きではないとみる人も多いので、初めての年賀状では控えたほうが無難です。もちろん、親しくなれば、職場では見られない姿の写真として喜ばれるようになりますが。
年の始めの縁起物です。言葉遣いにも気をつけて
年賀状は、「新しい年も良い年であるように」と祝い祈る縁起物です。不幸や不吉を連想させる言葉や絵柄は避けましょう。これは、誰に出す場合でも共通のマナーです。
代表的な忌み言葉としては、去年の「去」があります。「去」という言葉には「去る」や「別れる」などの意味があるので、年賀状では「昨年」や「旧年」を使います。
ほかにも、結婚式と同様に、「切れる」「落ちる」「終わる」「離れる」や「終」「衰」「倒」なども避けるようにします。
重複言葉としては、一月元旦 や 一月一日元旦 も間違い表現ですね。(元旦は一月一日のことですから)
年賀状をいただいても、印刷だけの場合は味気ない気がしませんか? 特に上司に出す場合、印刷だけでは残念です。文面を印刷する場合でも、上のような言葉に注意して、必ず自分らしい直筆のメッセージを添えましょう。
職場への年賀状は、好きなことを自由に書いても許される友人への年賀状とは違い、意識を変えなければならないということ、おわかりいただけましたでしょうか?
年賀状は出さなければならないというものでもありませんが、私は一年の節目としてその年の出来事を思い出しながら、必ず書きます。年に一度でも、送る相手のことを思い出させてくれるのも年賀状の良さだと思います。
かつて、2年続けて喪中はがきを書いた翌年は、年賀状が出せるというのは有難いこととつくづく思いました。
マナーに沿った素敵な年賀状をもらって不快になる人はいないはずです。きっと社内でもあなたの魅力アップにつながるでしょう。平成最後の31年、十二支最後の亥年、新しい年への夢をのせて、“できる年賀状”でぜひ飛躍の1年のスタートを迎えませんか?
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