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蕎麦をもってポーズをとるふたりの外国人女性の写真

飲食店の方は必見!外国人観光客の「食べられない食材」を正しく理解しよう

2019/02/15


みなさん、こんにちは。
シニアマナーOJTインストラクターの毛呂霞です。

外国人観光客が日本でしたいことの一つに、「日本食を食べたい」「美味しいものが食べたい」ということがあります。
私も海外旅行をする際は、その土地のものを食べたいと思い、調べてから行くことが多いです。先日はマルタへ行き、ウサギの肉のスパゲティを食べました。驚かれたかもしれませんが、イタリアやマルタでは狩猟が盛んな地域も多く、ウサギ肉を食すことは珍しくありません。ちなみに、ツナのような食感で美味しくいただきました!

これと同じように、日本人にとって当たり前の料理や食材が、外国人にとっては未知で驚くようなものであることもあります。それだけではなく、実はさまざまな理由から、“外国人は食べられない、食べてはいけない”という食材もあるのです。

それらの理由や背景を知っているのと知らないのとでは、接客やサービスにも当然、差が出てしまいます。
今回は、私がホテルで勤めていた際に得た知識や海外での経験を元に、日本食で気をつけたい3つのポイントをご紹介いたします。

宗教によっては禁忌とされる食材を知る

まずは、宗教や文化によって“食べてはいけないものがある”ことを知っておきましょう。
たとえば、イスラム教徒(ムスリム)の「豚肉」「アルコール」や「宗教上適切な処理をされていない肉」は有名ですし、他にも、一部のキリスト教徒は肉自体がNGです。それらをまずは知り、対策することで、外国人のお客様に気持ちよく利用していただくことができます。

コースターのような木にささった、ミニチュア万国旗の写真

たとえば、日本に来て「ラーメンが食べたい」という外国人観光客の方は多いですね。でも、チャーシューは豚肉なので、ムスリムの方は、「食べられないから、他を探そう」となります。そこで、ラーメンのチャーシューを湯葉で代用し、外国人観光客を増やした、というお店の例もあります。
また、ハラール認証と言って、「ムスリムにとって許されているモノ、適切な処理をされたモノやコト」である証明を店舗に掲示することで、ムスリムのお客様の来店を促すお店も増えてきました。

以前ホテルで勤めていた際、イスラム教徒のお客様から近隣のレストランを聞かれたことがありました。
ムスリムの方が“豚肉を食すことができない”ということは知っていましたが、「アルコール」や「宗教上適切な処理をされていない肉」に関しては、当時の私は知りませんでした。
宗教上の禁忌がわからないため、直接、お客様にお尋ねし、その情報をもとに近隣店舗を調べました。当時はまだハラール認証のお店がまだ2店舗しかありませんでしたが、そのホテルではムスリムのお客様をたくさん受け入れていたため、その2店舗を毎回ご紹介し、お客様にも大変喜んでいただきました。

まずは、知らなければ学び、理解することから始ましょう。

食に対する考え方や主義による違いを知っておく

皆さんはベジタリアンという言葉はご存知だと思います。ベジタリアンは「野菜しか食べない」と思われていますが、ベジタリアンの背景は大きく分けて4つあります。

①宗教(殺生を禁じている宗教や宗派に属している)
②動物愛護(動物を殺したくないと考えている)
③環境(畜産は地球環境へのダメージが大きく、持続可能ではないと考えている)
④健康(肉食より菜食が健康に良いと考えている)

そして、この背景からベジタリアンにも種類があります。
●ラクト・オボ・ベジタリアン:肉と魚を食べない
●ラクト・ベジタリアン:肉と魚、卵を食べない
●オボ・ベジタリアン:肉と魚、乳製品を食べない
●ヴィーガン:植物以外、一切のものを食べない

これらの違いをまずは知り、対応を工夫することで、ベジタリアンの方にも来店いただくことができます。
ベジタリアンの正確な人口の統計はありません。
ベジタリアン対応の多言語レストラン紹介サイト「Vegewel」を運営するフレンバシー社の調査によると、2017年の訪日外国人のうち134万人、全体の4.7%がベジタリアンと推計されています。
2017年の訪日外国人の一人当たりの旅行飲食費は3万869円で、ベジタリアンの飲食費をトータルすると416億円にのぼります。
2017年の訪日外国人ベジタリアン〜人数と市場規模〜|フレンバシー

このように数値化すると、ベジタリアン市場が決して小さくないことがわかりますね。今後はさらに大きくなることが予想されますし、訪日外国人の満足度を高めるためには、ベジタリアンに対しての理解を深める必要があるでしょう。

チーズとサラダに、ナイフとフォームの写真

カナダ在住のヴィーガンの方に聞いた話では、カナダにはヴィーガン用のカフェやバーガーなどがあるほか、コスメや雑貨専門店もあり、専門店でなくてもヴィーガン対応の表記があるため日頃の生活に困ることはそれほどないようです。
けれども日本ではそうでないため、友人と日本に来た際には、同じようにケーキが食べられないなど、食を楽しむことができず、残念な気持ちになったとのことでした。

アレルギーを起こしやすい食材は、特に要注意

アレルギーがある方は食に注意していることが多いですが、その食材が使われていると思わずに食べてしまうことがあります。
また、外国で初めて食べる食材でアレルギーを起こす可能性もあります。初めて食べるものでアレルギーになるとは、思っていない方も多いのです。

蕎麦をもってポーズをとるふたりの外国人女性の写真

日本食で言うと、蕎麦。日本人でもアレルギーの方は少なくありませんが、外国人の方でも、まずはアレルギーがあるかどうか確認をしておかないと、命の危険も考えられます。
卵、牛乳、小麦などは、アレルギーのある方が多い食材ですが、見た目ではそれらが使われているのがわからないこともあります。この場合は、食品ピクトグラムと言って、絵で何が使われているのか示すことで、安心して食事を楽しんでいただくことができます。

面白い事例としては、ジャパニーズタトゥー風のそばアレルギーチェッカーという、簡単にアレルギーテストができるツールを開発した地域があります。
外国人観光客へそばアレルギーの認知を拡大!……|PRTIMES

富士山や歌舞伎など日本の伝統的なデザインのステッカーで、蕎麦湯をステッカーに塗って皮膚に貼り、赤くなったらアレルギーがあるとわかる、というものです。
このように、日本の食文化に親しんでいただきつつ、アレルギーの危険を回避する工夫も大事ですね。

今回は、飲食店向けに、インバウンド対策の理解を深める3つのポイントをお伝えしました。
今後も訪日外国人は増えると想定されています。
メニューの展開などは予算も時間もかかることですが、まずは理解し、考え、今後に繋げていただければ幸いです。
安心して、楽しく、日本で「食」を楽しめるお店作りをしていきましょう!

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このマナーについては、#英語接遇ベーシック認定講座 #マナーOJTインストラクター養成講座

日本マナーOJTインストラクター協会
シニアマナーOJTインストラクター 毛呂 霞

講師毛呂 blog

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