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マスクで微笑む飲食店スタッフの写真

感染症対策やってますだけじゃない!これからも選ばれるお店とは?『クレンリネス』の取り組みについて

2022/06/10


みなさんこんにちは。
マナーOJTインストラクターの山田真由美です。

ウィズコロナも3度目の夏を迎えようとしていますね。
制限されていた不自由な生活も、少しずつ規制が解除されはじめ、飲食店をはじめとするサービス業界にもようやく明るい兆しが見えてきました。

制限が解除されたとはいえ多くの方は、引き続き安心安全に食事を楽しみたいと感じていることでしょう。

感染対策が徹底されているかという視点だけでなく、衛生的で気持ち良く安心して食事が楽しめるお店であることは、お客様がお店を選ぶ際の重要なポイントになります。
そのために必要なのが、店内や社内を常に清潔な状態に保つ「クレンリネス」という視点です。

この記事では飲食店の経営にも携わる講師が、今後選ばれる店になるために現場目線でのクレンリネスの重要性についてお話しています。

ただきれいなだけじゃない『クレンリネス』の効果

クレンリネスとは飲食店業界で使われる用語で、『きれいに清掃された清潔な状態を保つこと』を意味します。
よく似た言葉のクリンネスが、清潔で衛生的な状態、快適な状態を指すのに対し、クレリンネスは、清潔で衛生的な状態を保つ行為や作業を指す言葉です。

コロナ禍を経て、このクレンリネスは飲食店だけでなく、お客様を招く場所でも大変重要となっていす。

飲食店でクレンリネスを意識することは、店内の見た目をきれいにするだけではなく、提供する料理の安全性や、食中毒などの危険防止などの効果があります。
飲食店でこうした安全は、何より優先されるべき注意事項です。

クレリンネスの観点では、お客様の目に入る店内だけでなく、バックヤードにも注意を払わなければいけません。
厨房が不衛生だと食中毒などの衛生事故につながるからです。
1つの事故が店舗経営を大きく揺るがす事態になりかねません。

バックヤードのクレンリネスが乱れる原因の一つに、在庫管理の不備が挙げられます。
キッチンの掃除をする人々の写真
食材や消耗品の棚卸を毎月確実に行い、適切な在庫量を保つことで、冷蔵庫内を整理整頓でき衛生環境を保てます。
加えて、コンスタントな棚卸は、無駄な仕入れを減らし食品ロスをなくすといった効果も期待できます。

また、不要なものがなくなると、作業場自体に余裕ができます。
厨房とフロアはスタッフが頻繁に行き来する場所ですから、ゆとりある動線を確保しましょう。

スタッフのやる気を育む!お客様の視点で考える『クレンリネス』

お客様は視界に入るものすべてのものを、お店の印象として受け取ります。
きれいであることを期待してお越しになったお客様にとって、予想外の汚れやほこりがあればどうでしょう。

期待と違うものは、目につくものです。

しかし、一方で、店内の汚れやほこりなどは、認識は出来てもクレームにするほどはないと考えられる方も大勢いらっしゃいます。

「お店にクレームをいれるほどではないけれど、もう二度と行かないな」
お客様にそんな風に思われてしまう事態は是非とも避けたいものですね。

お客様が気になって、ついつい店舗側では見過ごしがちなポイントをあげてみましょう。

・テーブル・椅子についた水滴や拭き跡
・テーブルの下や裏側の汚れ
・床の隅に溜まったホコリや、角度によって反射して見える汚れ
・メニュー・お品書きの折れや汚れ
・照明器具に溜まったホコリや電球切れ
・拭き筋や、汚れで曇った窓ガラス
・絵柄が剥げていたり、欠けていたりする食器類
・トイレの汚れ
・レジまわりの乱雑さ
・スタッフの身だしなみ(髪型・爪の長さ・制服の乱れ、靴の汚れ具合)など

こうしたポイントは、日々そこにいるスタッフ目線ではついつい気にならなくなりがちですが。
快適な空間で過ごすことを期待して訪れた場合、途端に目について仕方なくなりますね。

クレンリネスの観点大事なのは、お客様の視点で店内を見回すことです。

入口から店内を見回してみる。
席に座ってみる。
お客様用トイレも、実際に座って見まわしてみましょう。
立って見下ろしていては見えなかった汚れもあるかもしれません。

日本料理店の和室には、床の間に掛け軸や調度品が飾られています。
埃や汚れをきれいにすることはもちろんですが、実際に座った席から、掛け軸がどのように見えるか、調度品のしつらえてある様子をつぶさに確かめます。

お客様目線で、快適に過ごしてもらうために、店内の様々な個所を確認しましょう。

しかし、ここで問題となるのが、見るスタッフによって物の見方が違うということです。
スタッフによっては、多少のホコリに、気が付く場合と気が付かない場合があることです。

そんなときに役立つのがマニュアル化とスケジュール化です。

マニュアルは、パート、アルバイトを含めたスタッフ全員が、常に同じサービスを提供するための仕様書です。

「気にならなかった」「うっかり見落としていた」「つい忘れてしまった」
ありがちな不衛生を招く事態を防ぐには、明確な基準を設け、手順を明記することが重要となります。

掃除は、「毎日掃除する箇所」「週に一度は掃除する箇所」「月に一度は掃除する箇所」「3か月に一度は掃除する箇所」などにわけ、チェックできる項目表を作ります。

このとき、掃除方法などもあわせて記載するのが良いでしょう。

整理整頓のビフォーアフター画像の、アフターだけでもマニュアルに貼っておけば、目指すべきゴールが明確に分かりますね。

マニュアルで明確化することで、スタッフへの注意も促しやすくなるというメリットもあります。
それぞれのさじ加減でしか伝えられないことも、「マニュアルにこう書いてあるよ」と伝えればいいのです。
「こんなこと指摘したら角が立つのではないかしらん…。」といった気づかいもしなくて済みますね。

また、マニュアルは一度作ったら終わりというものではありません。

お客様からクレームがあった場合の改善はもちろん、マニュアルに載っていないことで、『これはみんなで足並み揃えた方がいいな!』と感じることがあった場合。
今のマニュアルよりも良い方法がみつかった場合などは、改訂を重ねましょう。
点検する飲食店スタッフの写真
気が付いたスタッフは責任者に提案しやすい環境を作るのも良いですね。
提案箱を用意するのもおすすめです。
店長や接客リーダー、調理場のリーダーは定期的に検討会を開き、必要だと判断されたものはすぐにマニュアルに加えたり、当該箇所の訂正をしたりします。

マニュアルとは常にスタッフによってアップデートしながら作り上げていくものです。
そのことを意識すると、ただマニュアル通りこなすだけではなく、良い方法を見つけようという前向きな姿勢を促すこともできます。

自分の提案を聞いてもらえるという風通しの良さは、スタッフも大いにやる気をもってとりくんでくれることでしょう。
良い店づくりには大切な仕組みとなります。

従業員の身だしなみも大事な『クレンリネス』

せっかく店内をきれいにしていても、そこで働くスタッフの身だしなみが乱れていては台無しですね。
クレンリネスの維持には、スタッフ自らの身だしなみ管理をできる習慣も大切です。

制服の汚れ、擦り切れ、ほつれ。
髪型や爪の手入れの行き届き具合。
靴や靴下の汚れなどは、お客様の視界にも結構入っているものです。

接客業にたずさわる上では、常にお客様の視線は自分に向いていることを意識しましょう。
こちらも、スタッフ同士でチェックすることを毎日の日課とするはよいかもしれません。

私が携わる日本料理店での話です。

この店では仲居が洗い物を兼ねることがあります。
忙しい中での洗い場作業となるので、どうしても前掛けが濡れてしまいます。

忙しいときは、本人も気づかないまま、お料理を席に運ぶことになります。
濡れた前掛けをしたスタッフが料理を持ってきたら…。

料理を見て『わぁ!』となったお客様の目線は、そのすぐ後ろの濡れた前掛けに自然と行ってしまい、料理を見た嬉しさは、濡れた前掛けを見た感想で上書きされていることでしょう。

また、洗い物するときに、シンクに当たる前掛けがこすれて、回数を重ねることでそこだけ色が剥げたり、綻びが出て来たりするという問題もあります。

これは実際に現場で動いてみないとわからないことですし、担当スタッフしか気が付かないことです。

この場合ならマニュアルには、
『仲居が接客中に洗い物をする際は、前掛けの濡れや摩擦を防ぐために、前掛けの紐にタオルをかける』という一文を付け加えると良いでしょう。
そして、洗い場の横に前掛けカバー用のタオルを常備するようにすることで、このお店ではこうした『中居さんの前掛けから発生する不衛生問題』を解決できました。
微笑む和食店スタッフの写真ポイントは前掛け
「あのお店は安心で居心地がいい」と認知されることは、コロナ禍を経た今、大変重要な要素となります。

クレンリネスへのクレームは表面化しにくいものですが、だからこそ従業員一人一人の心がけが重要となってきます。

お客様が不快だなと感じたことは、たとえそれが無意識の反応であっても
「次からは選ばない店」にリスト入りしてしまいます。

感染症染対策と同時に、クレンリネスの視点をもって日々の業務にあたることで、お客様に選ばれる居心地の良いお店を目指しましょう。

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このマナーについては、#ソーシャルマナー #マナーOJTインストラクター

日本マナーOJTインストラクター協会
マナーOJTインストラクター 山田真由美

講師 山田真由美 blog

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