コロナ禍でも悔いのない葬送 マナー講師が実体験を通して学んだお見送りの現代マナー
2020/10/02
みなさん、こんにちは。
シニアマナーOJTインストラクター・キッズマナーインストラクターの前澤 暢子(マエザワ マサコ)です。
突然の訃報は、心が痛みます。これまでの平常時なら、お通夜振る舞いで故人を偲び、告別式でお見送りをすること多かったでしょう。そうした機会に親族で集まることで、お互い慰めにもなりましたね。しかし、コロナ禍のいま、親族同士とはいえ、中々集まる機会も限られてきているのではないでしょうか。
このコラムでは「コロナ禍」の中、突然の訃報、悲しいお知らせをする際、気持ちをご理解いただける伝わりやすいポイントをお伝えします。
参列をお断りするのに 失礼にならないためのマナー
家族の大きな悲しみがあった際これまでなら、親族をはじめ近しい方に連絡を差し上げます。喪主と葬儀社の打ち合わせで、日程を決めればみなさんにもお伝えしやすいですね。
会場では椅子の間隔を広めにとり、アルコール消毒の用意をする等、感染症拡大予防対策がありますが、葬儀社にお願いした場合なら、プロが細かく配慮してくださいますので安心です。
今の「コロナ禍」で気を付けたいのが参列をご遠慮願う際の伝え方です。
遠方から参列に頂く方、また故人との古くからの付き合いがある方などは、場合によっては高齢の方も大勢いらっしゃいます。そうした方には、用心のためにも、丁寧にご遠慮いただくようお伝えするのが、がよろしいのではないでしょうか。
「せめてお通夜には…」とお思いの方もいらっしゃるでしょう。そうした思いを害さないためには、「お気持ちは大変うれしいです。」とまずは、クッション言葉で、その思いへの感謝の気持ちを伝えましょう。
それから「故人にも充分伝わっていると存じます。○○さんがお健やかにお過ごしくださいますのを、故人が一番喜ぶので」などと伝え、肯定的な表現で伝えましょう。決して、否定的な言い方にならないように、気をつけましょう。
感染症対策のために、参列のご遠慮を伝えることは、決して失礼にあたるわけではありません、今のこのご時世です。ご理解を示してくださる方は、多いと思われます。
また故人を偲ぶ「通夜振る舞」も「密」になるからと、用意されないことが多くなっていると、葬儀社の方に伺いました。
故人を送りだすための儀式です。大切なことは、これまでの慣習にとらわれることなく、それぞれの思いをきちんと受け止めていますよと、伝わる応対をすること。相手を思いやる心をもって、行動するのがこうした際に必要なマナーですね。
葬儀が落ち着いたら 参列をご遠慮頂いた方へのマナー
今回義父の逝去にあたり、夫が喪主を務め、私は長男の妻という立場から、葬儀を取り仕切る裏方の作業を初めて経験しました。
夫に代わり葬儀社の方と打ち合わせ、親族をはじめ、故人である義父の親しかった友人の皆様へご連絡し、報告を行いました。
遠方の親族には今のご時世を理解してもらった方には、葬儀後改めて「穏やかに召された」ことなど、通常の葬儀でなら、喪主挨拶で伝える内容をお伝えしました。その際、みなさんが、義父のことを懐かしみ、お話してくださるのを聞くことができ、私の知らない義父の話は、大変貴重な財産となりました。
義祖父の葬儀の際は、連絡をとれるよう孫たちでSNSアプリを使ったやり取りを決めていたため、連絡もスムーズにとれました。全員が見ている中での思いで話などは、みんなで共有でき、また、最期の様子なども一度にお伝えすることが出来、SNSで繋がっておくのは、便利だったなと改めて感じました。
また有難いことに義父の親友が同級生の皆様への連絡を快く引き受けてくださいました。後日ご友人の方々からご連絡を頂き「みんなにも連絡をくれてありがとう。若かりし頃を想いながら献杯したよ」とお聞かせくださいました。そうした言葉が、とても嬉しく感謝しました。参列のご遠慮もご理解くださいました。
今回の葬儀では、思いがけないことも判りました。それは、叔父が既に亡くなっていたことです。逝去の連絡が私たちには、届いておりませんでした。叔父の亡くなる半年前に叔母の葬儀で会ったのが最後でした。
その知らせを聞いたとき、一瞬とても寂しさを感じました。しかし、叔父の遺言で、子供たちだけに送って欲しいとのことで、敢えて伝えなかったとのことでした。
遺言とはいえ、寂しさを感じたことは否めません。ですが、一方で、叔父の遺志を尊重しようとも思いました。
今は昔と違って、個々人の考え、思いを表しやすい時代なのかもしれません。叔父のことを申し訳なさそうに伝えてきた従兄弟の様子に、決まりきった形にこだわるのではなく、故人の想い、故人への思いを大事にされる方が増えていることを実感しました。
そうした『故人の思い』を受け入れる、柔軟性を身につけるよい機会になりました。
少し以前の話ですが、大切な友人のお父様の葬儀に参列したのですが、「音楽葬」とよばれるセレモニーでした。ご家族をはじめ故人を愛する愛情あふれる素敵なお見送りに感動しました。
送り方について、故人の希望を最大限叶えるためにも、少しハードルは高くとも、生前にご家族で話す機会をもてると、よいですね。
文字で伝えましょう お香典返しのマナー
お通夜、葬儀の参列にご理解を頂きご遠慮いただいた方たちから「香典」が届くこともあるかと思います。
今回私たち家族のもとにも送られてきました。添えられたお手紙を拝見すると、あたたかさに胸がつまりました。
「香典返し」の内容は、それぞれ変わることもあるかと思いますが、必ず行っていただきたいのが、お手紙を添えることです。手書きの手紙で感謝の気持ちを伝えましょう。「一筆箋」もお勧めです。
お香典を送る際、このひと手間に思いやりの気持ちをのせられることを改めて実感できます。
頂いたお香典の手紙に「お気遣いご遠慮ください」とあったとしても、あなたの感謝の礼は伝えましょう。
その他にも、MannerUpMagazineではこれまで、葬儀にまつわるコラムを掲載しています。
また、一筆箋を効果的に使うためにぜひご一読ください。
冠婚葬祭は、親族をはじめ、みなさんと交流できる大切な機会です。このご時世、そうした人と人が集まることが自粛、自粛で制限されていますが、そんな今だからこそ、相手を思いやる心を行動にあらわすマナーについてみつめ直し、そうしたマナーをこれからも守っていきたいものですね。
「密」を避ける工夫も大切ですが、マナー美人の皆様にはぜひ「思いやりの心を行動であらわす」ことがマナーだと意識して頂きたいです。
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このマナーについては、#ソーシャルマナー
日本マナーOJTインストラクター協会
シニアマナーOJTインストラクター 前澤暢子
講師前澤暢子blog