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ビルを背景にたたずむ決意の表情の女性

リーダーになるのが不安な女性部下へのアプローチ

2020/08/28


皆さんみなさん、こんにちは。
トップマナーOJTインストラクターの石井由美子です。
自分の後を任せたいと思っていた優秀な女性リーダー候補。将来は管理職へと考え、本人にもリーダーになる意志があると思っていたら、予想外に消極的な態度を取られることはありませんか。
女性が管理職になることによって、多様な価値感が生かされ、企業としてのイメージも価値も高まると言われます。企業としても積極的に女性リーダーを育成していきたいところです。
仕事はできるのに、リーダーとなることに戸惑いを感じる女性部下は、何に不安を感じているのでしょうか。上司としてじっくりと話を聴き、安心してキャリアをアップしていけるよう、どんなサポートができるかについてお伝えします。

女性部下の不安をひとつひとつ丁寧に聴いていく

女性部下にリーダーになることをためらわれ、上司が驚くのは「一生懸命仕事に取り組んでいるのは、当然リーダーになりたいからだろう」という思い込みがあり、コミュニケーションに欠けていたのかもしれません。日頃から業績を評価していること、仕事への考え方や将来について話す機会を持つことも大切なことです。
まずは1対1で、コミュニケーションを取りましょう。

「あなたをリーダーとして推薦していきたい」ということについてきちんと伝えたら、その先はこちらから多くを語らず、相手の声に耳を傾けましょう。
「仕事にはやりがいがあるが、不安がある」という発言が出たら、「やりがいがあるんですね」「不安がある?」という風に、相手の使った言葉を繰り返すのがポイントです。相手は肯定してもらっている気持ちになり、安心します。

このときにしてはいけないことがあります。それは、「やりがいがあるのになぜ?それだったら是非」とか、「不安なんて誰でもあるよ」など、自分の考えを押しつけてしまうことです。
十分に相手の話を聞く前に「わたしだって不安を感じたけど、こんな風にやってきたから大丈夫!」と、自分の経験談を話すのもあまり効果的ではありません。
「あなただからできたのでしょうが、わたしには無理」と思われ、相手は心を閉ざしてしまうかもしれません。

そんな場合は、急がずに「不安?」「どんな不安があるか、具体的に聞いても良いですか?」と、穏やかな表情を保ちながら、聞き手となります。聞き手に徹することで、部下の思いや、不安の具体的な内容を引き出すことができます。
一方の部下も、話すことで考えが整理でき、不安の正体をみつけられます。
何に不安を感じているのかがはっきりすれば、対処法も考えられます。
資料を前に提案する女性のイメージ
上司であるあなたからのアドバイスや、会社や組織のサポート体制を伝えることで、部下の不安が解決することもあります。しかしこうした会話を通して、実は部下本人が発見することも多々あります。

自分の本当の気持ち、将来どうなりたいのか。そんなことをしっかりみつめることで、リーダーとなりたいという、自分の思いを発見し、問題解決に向けて動こうという、気力が生まれるでしょう。

上司が聴くこと、部下自身が聴いてもらい、話すことで生まれていく力です。そして、じっくり聴いてもらった安心感は、上司であるあなたへの信頼を深めます。

女性リーダーとしての志向を高める計画的な育成が必要

女性がリーダーになることに躊躇する不安要素には、以下のようなものがあります。
「リーダーは強い発言力、実行力をもってチームを引っ張っていくべき存在」という考え方があり、自分はリーダーとしての素質に欠けるのではないか、他にリーダーになるべき人がいるのではないかという不安です。
部下自身の、自分への過小評価もあるかもしれません。ですが、上司であるあなたは、低い自己評価に悩む部下には、『まずその不安を受け止め、女性の特性と言われる「共感性」「協調性」「コミュニケーション力」を生かした、新しいリーダー像がある』ということを伝えましょう。

女性は結婚、育児、介護などのライフイベントによって、仕事への影響が男性よりも出やすいという、今の日本の現実も不安要素となっています。
リーダーになったら、自分の都合での休みが取りにくくなるのではないか?周囲に迷惑をかけるのではないか?とその部下は悩んでいるのかもしれません。

こうした問題については、社内で利用できるサポート体制があることを明確に伝えましょう。

また、会社全体で女性リーダーを育む体制が必要です。男性社員からの反発も考えられますので、単に女性であるからという理由で選ばれたのではないという、透明性の高い評価を示していくことが必要です。女性だけではなく、男性社員への理解やジェンダー教育も図るようにすることが、女性リーダーを育むための社内の良い雰囲気を創り出します。
オフィスの廊下で微笑みながら佇む女性
さらに現場で働くことには優秀であったとしても、リーダーとなるためには、それなりの業務知識、マネジメント知識が必要となってきます。
挑戦となる仕事の機会を段階的に与え、成長を実感させること、リーダー候補研修を受講させるなど、リーダーに向けての段階的な育成が、部下の自覚と自信を育てます。

ある企業で、副店長を務める優秀な女性達を、社内で初めて店長に起用しようとなったとき、多くの女性はそれに躊躇い、なかには断る方もいました。
給料も上がりますし、副店長をやっていたなら店長とさほど変わらないと、男性幹部は不思議に思ったようでした。男性ならごく普通の昇格ですが、女性には唐突な人事だったのです。
女性リーダーを育てていくには、現代の女性の抱える背景への理解、日頃からのバックアップやサポート体制、段階的な育成が大切だと実感した経験でした。

ロールモデルやメンター制度など心のサポート体制を伝える

女性部下に、リーダーとなっても孤立しないで、安心できるサポート体制について伝えましょう。これによって、「自分は孤独ではない。助けを求められる、自分は他の社員から特別視されない」という心理的安全を持ってもらえます。

社内で部門を超えた、女性リーダーのコミュニケーションが取れる機会を設けるのも一案です。同じ悩みを持つ人たちからのアイデアを得たり、刺激を受けたりする機会となり、モチベーションアップとなります。

このまま仕事をしていったらこうなると、少し先の未来をいく女性のロールモデルがいることも安心要素となります。ロールモデルがメンターとなる制度があれば、さらにサポートができます。

冒頭で、上司は自分の経験談は話さない方が良いとお伝えしましたが、部下がやる気になった時点では効果があります。飾らず、失敗談や苦労して切り抜けた話もいいでしょう。ただし、あくまで部下育成の観点で話すのであって、自慢話や自分だけが話し続けるのはNGです。

ここで注意したいのは、ロールモデルが無理をして働いているように見えないことです。
ある職場で「なぜみんな私のように頑張ってくれないの?私一人でやっている」という女性幹部の愚痴を聞いたことがあります。一方で部下たちは「あれを求められても困る。あんな風にはできない」という声を聞きました。ちょっとせつないですね。
自分がどう見えているか俯瞰してみることも大切です。
ビルを背景にたたずむ決意の表情の女性
めまぐるしく環境が変わる現代においては、ひとりで仕事は達成できません。多様なアイデアと協力があってこそ、目的を果たしていけます。
優秀な次世代の女性リーダーを育てていくには、不安を良く聞き、受け止めること。
不安の正体がわかったら、部下自ら解決できること、社内のサポートで解決できることが見えてくるのです。

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このマナーについては、#マナーOJTインストラクター養成講座 #企業研修講師ストレートコース

日本マナーOJTインストラクター協会
シニアマナーOJTインストラクター 石井由美子

講師 石井由美子blog

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