中国人観光客対策 言語ができなくてもできる接客
2019/01/11
みなさん、こんにちは。
シニアマナーOJTインストラクターの毛呂霞です。
冬休みはどこかへお出かけしましたか? 私は特にどこへも行かなかったのですが、大阪市内では中国人観光客をよく目にしました。
近年、増えているインバウンド(訪日外国人)。ラグビーワールドカップ、東京オリンピック、大阪万博も決まり、ますます盛り上がってきましたね!
とはいえ、実際に現場で働くみなさんはお困りのこともあるのでは?
「中国人が何を言っているかわかならい」「(中国の文化がわからないから)中国人への接客は苦手」などという声をよく聞きます。
日本政府観光局の発表によると、2018年1月から11月までのインバウンドの国ごとの伸び率は中国人がなんと前年比で14.6%増加していました。それなのに、中国人観光客の受け入れ態勢がまだできていないのはもったいないですよね。
今から急に中国語を勉強することは難しいかもしれません。まずは、中国人の好きなものや嫌いなものなどを理解することから始めることが、中国からのお客様へのおもてなしの第一歩です。
面子を重んじ、歓迎・感謝の気持ちを表現する
中国人は面子を大切にし、特別感のあることを好みます。特別感のある接客や「熱烈歓迎」などの横断幕などをするだけで、一目で歓迎していると伝えることができます。
当然ですが、笑顔で接客をすることも大切です。
中国人は家族や友人など、関係の深い相手に対しては情が熱く、その反面、自分と関係のない相手に対しては冷たい態度を示す傾向があります。これは、なんの面識もない相手に愛想良く接する必要がないと割り切る、国民性です。
ですので、日本人の笑顔で丁寧な接客は、中国人にとってとても新鮮。お客様として来店されているのですから、まずは笑顔で接してみてください。
また、面子を大切にしているので、人前で注意されることや中国人と日本人の間で区別するような接客態度は、「プライドを傷つけられた」と感じられる可能性があります。
私は以前、神戸のホテルに勤めていました。外国人の宿泊客やレストラン利用、VIP、外資系航空会社の対応などの担当をしており、中でも中国人のお客様が多くいらっしゃいました。
そのホテルに、無表情で意見をハッキリ述べる中国人の常連のお客様がいました。どの従業員に対しても同じ態度でした。
私は、中国の文化を知ったうえで、笑顔で接することと、積極的に声をかけ、そのお客様が話していたことを覚えておいて対応することなどを意識するようにしました。そうすると、何度かお客様とやり取りする中でしだいに壁がなくなり、大変喜んでいただくことができました。
YESとNOをハッキリと伝える
日本では相手を配慮して曖昧な返答をすることが多いです。しかし、中国人観光客に対しては、はっきりとYESかNOで答えるのがベターです。
曖昧な返答をすることで、「どっちつかずな態度で信用できない」と思われてしまうことがあります。
中国人は、思ったことをストレートに言ってあとくされがないため、とてもわかりやすい性格です。
また、相手の立場を慮る言葉よりも、Yes/Noをはっきり意思表示したほうが、自分の気持ちがよく伝わります。相手の中国人にも妙なわだかまりは残りません。
さらに、今の中国は経済成長がどんどん進み、曖昧な返事をしていては、現地の中国ビジネスのスピードについていけなくなってしまいます。
神戸のホテルで私が新入社員だったとき、NOが言えずにクレームになってしまったことがあります。ダメなことをハッキリと言えず、曖昧な返答をし、そのハッキリとしない態度や返答で困ったお客様が「ハッキリしない態度でわからない。時間を消費された」とクレームになってしまったのです。
相手を気遣ってNOが言えないことは、実は相手のためにならないことを理解しました。
大きなもの、たくさんのもの、鮮やかなものが好き!
中国人は小さいものよりは大きなもの、少ないものよりは多いもの、地味な色やデザインよりは鮮やかな色や派手なデザインを好む傾向があります。具体的には、赤色や金色を好む人が多く、良い印象を与えるものや見栄えするものを好みます。
たとえば、『爆買い』という言葉を聞いたことがあるかと思います。少し落ち着いたものの、まだまだ『爆買い』をする中国人はたくさんいます。
理由は元高・円安ということと、高品質・高性能のものを購入したいという意欲が強いからです。そして、中国人は少ないものよりも多いものを好むので、8個セットなどにお得感を感じます。6・8などの数字が好まれるので、そういった数字をポイントにしておくと、売上にも繋がるでしょう。
また、面子を重んじるという国民性からも、「良いものをたくさん買いたい」という気持ちも強いです。
縁起が良いとされる数字や好みの色などをアピールすることで、言葉でのコミュニケーションに不安があっても、ひと目でわかり、売上に繋げることがきます。
インバウンド対策と言っても、どんどん傾向は変わります。
とはいえ、まずは相手を知り、理解することがインバウンド対策では第一歩です。
親しく接しようという気持ちを表すことによって、中国からのお客様にも親しみを感じてもらうことができ、さらにはそれが日本に対する印象の良さにつながるのではないかと思います。
ご一緒に、心地よい観光地・日本を作っていきましょう。
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シニアマナーOJTインストラクター 毛呂 霞
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