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笑顔でハートを作る女性

名前を添えて感謝を伝えられるマナー美人になるための秘訣

2021/02/19


みなさんこんにちは。
シニアマナーOJTインストラクター・キッズマナーインストラクターの前澤 暢子(マエザワ マサコ)です。

あなたは一日に何回の『ありがとう』を言い、何回の『ありがとう』を言われていますか?

その一つ一つの『ありがとう』であなたの思いはしっかり伝わっていますか?
『ありがとう』を伝えているときの、あなた自身の姿を想像したことはありますか?

『ありがとう』は、いつもよく使っているからこそ、思いがけず粗雑な言い方になっていることがあります。
ありがたいから、ありがとうと言っているにも関わらず、その言い方、姿勢一つで『今のありがとうは何???』と受け取られたとしたら!?

このコラムでは、『ありがとう』をきちんと伝えられるマナー美人になるための秘訣について詳しくお伝えします。
『ありがとう』は、心を豊かにし、お互いを幸せにしてくれる言葉だと思います。ぜひ、きちんと伝わる『ありがとう』で、あなたも、あなたの『ありがとう』を受け取った人も幸せにするマナー美人を目指しましょう♪

知らないことを教えてもらったときのありがとう。

今から数年前の話です。大雪に見舞われ、マスコミでもブラックアイスバーンという言葉が頻繁に使われたときです。
雪道でものの見事に滑ってしまい、私は右腕を骨折しました。
雪の日に滑る女性
この経験を踏まえ、雪でも安全に歩ける靴を買いに行きました。
お店では、私は、私自身の情報と希望を出来るだけ伝えねばと、『雪に不慣れな地方出身であること』『雪で滑りたくないこと』『骨折の経験から、雪に対する恐怖心が強いこと』等を一生懸命伝えました。

そうした情報をコンパクトに伝えておくことで、何か良い商品を提案してもらえると期待したからです。
するとそのお店の店員さんは、雪に強い靴、滑りやすい靴の特徴を分かりやすく教えてくれました。
また、雪の日だけでなく、雨の日にもレインブーツとして履けるタイプの靴があることや、近頃の流行りや、人気のあるタイプなどの情報も交えて説明しながら、何足か試しに履かせてくれました。

私自身はあまり買物に時間をかけないタイプなのですが、店員さんの分かりやすい説明と、初めて教えていただいた情報の数々に、ついついじっくり耳を傾けて話を聴いていました。

少々時間はかかりましたが、結果としてとても満足感の高い買い物だったので、お支払いのときに私は、その店員さんの名前を添えてお礼を言いました。

「○○さん、今日は○○さんのおかげで、とても良い買い物ができました。ありがとうございます。」

文章にしてみると、何の変哲もない普通の会話ですが、その店員さんはとても驚かれた様子でした。あまりに驚かれた様子だったので、(名前呼び間違えた!?)とヒヤッとしたほどでした。

お店を出るときには、その店員さんの後ろに、先輩と思しきベテランの店員さんも立たれ、おふたりとも、深々としたお辞儀で送り出してくれました。

私たちのJAMOIでは、一般的なお辞儀として、3種類のお辞儀をお伝えしています。
お辞儀の際に、直立の姿勢から腰を曲げてできる角度を使い分けることで、お辞儀に意味を込めて思いを伝えられると、普段のマナー講座ではお教えしています。

お辞儀は、どんな角度でも心をこめて丁寧にすることが肝要です。
しかし、すれ違う先輩に対してするお辞儀と、大きな買い物をされたお客様に対してするお辞儀は、やはり角度が違います。
このとき、お店を出るときのお辞儀は、マナー講師の私からしてもとても、とても大切なお客様に対してするお辞儀だなと感じるものでした。

これは想像ですが、もしかしたら、この店員さんは、普段ありがとうの言葉は受けても、そこにご自分の名前が添えられた、『私だけへのありがとう』を受けとる経験はなかったのかなと思いました。

マナー講師としてこうした接客・接遇について教えることの多い私ですが、改めて一人の客として、何気ない言葉の持つ力の大きさを感じた経験でした。
ぜひ、みなさんも可能な範囲でかまいません。お名前を添えて、ありがとうの一言を伝えてみませんか?

面倒に付き合ってもらったことを詫びるときのありがとう。

次は、つい先日の話です。
仙台に住む私にとって、2月13日深夜に発生した地震は、東日本大震災を思わせる大きなものでした。

明来る日の14日は、もともと子どもが大学受験で東京に行く予定でした。
しかし、東北新幹線は止まるわ、東北自動車道は閉鎖されるとの情報は入るわで、私たちは大いに慌てました。

大学の受験は目前です。
試験自体開催されるのか。
子どもは東京に出られるのか。
ひとりで行かせても大丈夫か…。

人生のビッグイベントに、思いがけない天災が加わり、頭が真っ白になる事態でした。

こんな時は、本当に申し訳ないのですが、私は子どものことで頭がいっぱいになりました。
そのため、子どもが宿泊予定だったホテルに何度も電話して、「14日のチェックインを15日からに変えて欲しい」「シングルと言っていたが親もついて行くのでツインに変えて欲しい」「車でしか行けなくなったけど、駐車場がないなら、泊りは14日だけに変えてほしい…」

思えばとても我がままのオンパレードで、マナー講師としてあるまじき!と私自身でも思います。
しかし、地震の揺れは東日本大震災を思い出せ、とてもじゃないですが、子どもひとりで試験に行かせる気になれず、あれこれ気を揉むあまりホテルの方を巻き込んだ大騒動を演じてしまいました。(今思うと恥ずかしくも、申し訳ないです)

何度も予約変更を行う面倒な客です。
電話で何度も対応してくださったスタッフの方のお名前もしっかり覚えていました。

ホテルに着いたとき、お会いできたときには幾分落ち着きを取り戻していたので、お名前を添えて感謝の気持ちをお伝えしました。

『有難う』の反対語は『当たり前』
接客のプロの方にとっては、こんな面倒な客の対応は『当たり前』かもしれません。
客にも事情はあれども『あーめんどくさい!』と内心思われても仕方ないと思っていたのに。

「○○さん、何度も予約変更をお願いし、お手数おかけしました。快くご対応いただきありがとうございます」と伝えると、夜遅いチェックインにもかかわらず、とても爽やかな笑顔で応じてくださいました。
マスクをつけた受付・フロントだけど笑顔の女性たち
翌日のチェックアウトの際にも、お名前を添えて改めてお礼を伝えると、フロントにいらっしゃった皆さんが素晴らしい笑顔で送り出してくださり、子どもも落ちついて、試験に臨むことができました。

マナーとは思いやりの心を行動であらわすことです。
日々の暮らしの中で、人は常に誰かのおかげで生きていけるということを実感します。

そんなときは、お世話にして下さった方のお名前を添えて、感謝の気持ちを伝えましょう。
他の誰でもない、あなたに感謝しています。
そんな思いを行動であらわしてみてください。

私自身航空会社で働いていたころ、お客様から名前を添えてお声をかけていただいたとき、お礼の言葉を頂いたときはとても嬉しく、また、私自身の接客に自信をもてたように感じました。
そんな風に誰かを豊かな気持ちにできる、ちょっとした秘訣がお名前を添えることです。
こうして社会全体で、優しい気持ちを共有できるようになればいいですね。

心地よい人間関係を築くヒントをお届けする「Manner Up Magazine(マナーアップマガジン)」
思いやりの心を行動で表すためのアイデアが詰まったウェブマガジンです。お役に立てれば幸いです。

このマナーについては、
#ソーシャルマナー

日本マナーOJTインストラクター協会
シニアマナーOJTインストラクター・キッズマナーインストラクターの前澤 暢子

講師前澤暢子blog

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