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プロのマナー講師が教える 新入社員に感じの良い挨拶を身につけてもらうための指導ポイント

2020/03/13


みなさん、こんにちは。
シニアマナーOJTインストラクターの大縣 真弓です。

新入社員を迎える季節になりました。研修担当や教育係になった方は、準備に忙しいときですね。
新入社員にまず身につけて欲しいのは、社会人として必須の「挨拶」。けれども、挨拶の基本ができていない新入社員が多い、という声もよく耳にします。

「挨拶」という言葉は、心を開く「挨」と、心に迫る「拶」で成り立ち、自分の心を開いて相手の心に近づいていくことを意味しています。「挨拶」の意味に相応しい、感じの良い挨拶を指導するときのポイントを、研修の実体験を交えながらお伝えします。

挨拶は相手のほうに体を「向けて」、しっかりと目を「見る」

新入社員研修で「絶対に習得して欲しい」という要望が出るのは、「挨拶」がNO.1です。
やはり「挨拶」は、社会人にとって最低限のマナーで、新入社員の元気な挨拶は職場に活気を与えます。

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研修会場に入って来る新入社員を見ていると、実はほとんどの人が挨拶をしています。しかし、下を向いたまま頭を下げたり、誰に向けてなのかわからず小さな声だけ聞こえたり。「もしかして挨拶した?」と、疑問に思う挨拶が多く見受けられます。
これでは、残念ながら、「挨拶」をしたとは言えないのです。

挨拶は、相手に認識されて初めて「挨拶」と言えます。そこで、いちばん初めに、「正対」と「アイコンタクト」を指導します。
挨拶する相手に体を向けて、お辞儀をする前と後にアイコンタクトを取ると、必ず相手に伝わります。実は、これだけで印象が大きく変わります。
もし、PCなどの作業をしていて体全体を向けることができない場合は、顔だけでなくデコルテまでを相手の方向に向けるだけで、正対したと感じてもらえます。
また、アイコンタクトが苦手な人は、目と目の間あたりや鼻の周辺を見るようにアドバイスしてください。

この2つができると、軽く頭を下げるだけでも、相手には「挨拶してくれたな」と感じてもらえます。

感じの良い挨拶は「表情」「声のトーン」「スピード」で決まる

感じの良い挨拶には、「表情」「声のトーン」「スピード」が大切です。

ポイントの1つめは、「表情」です。
やはり笑顔の挨拶は、第一印象アップに繋がります。笑顔には、相手を安心させる要素もあります。笑顔が保てると、声のトーンも自然に、高く、明るい声の「笑声(えごえ)」が出やすくなります。
感じの良い挨拶の表情と声の指導をすると、電話応対にも、大変役立ちます。

新入社員に「笑顔で!」と言っても、緊張して、口は真一文字にギュッと閉じてしまいがち。挨拶の練習をすると、顔はどんどん真顔になってしまい、怖い印象になってしまうことがあるのです。
そこでまず、日頃から表情筋を動かせているかどうかを確認するために、口角を上げた状態で10秒間キープすることをしてもらいます。
たった10秒キープするだけでも、頬をさすって「痛い」「疲れた」と、感想が出ることがあります。これは、表情筋を動かしていないからです。

自然な笑顔になるために、表情筋のトレーニングを取り入れてみましょう。
さまざまな方法がありますが、手軽にできるトレーニングを1つ紹介します。片方の頬に空気を入れて、頬を膨らまします。その空気の球を、左右前後に口の中で動かしていきます。
1回30秒程度が目安ですが、頬が疲れたなと感じる程度までするとより効果的です。トレーニングは、簡単にどこでも行うことができるので、1日数回行ってください。頬や口周りが動かしやすくなり、笑顔が直ぐに出やすくなります。

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ポイントの2つめは、「声のトーン」です。
地声での挨拶は、怖く聞こえるため、「やる気がないのかな」「不機嫌なのかな」と誤解されてしまいます。声のトーンは、少し高めを意識させて下さい。
「ソ」や「ラ」の音階が目安です。地声を「ド」にして、「ドレミファソラシド~♪」の「ソ」または「ラ」の音階です。
表情が笑顔になると、口角が上がることで自然と声のトーンも高くなり、「笑声」になります。笑顔が自然に出ると、高い声のトーンも出しやすくなります。

3つめは、「スピード」です。
挨拶は、一瞬です。ボソッと言う人は、何を言っているのかわらず、伝わりません。また、早口の人は、「おはようございます」が「ございます」しか聞き取れないことも多いです。
言葉が最初から聞き取れるようにするには、言葉を発する前に息を吸うと、頭の言葉が消えなくなります。また、慣れるまでは一音一音ゆっくりと、大きな口を開けて発音するように伝えましょう。挨拶の言葉をしっかり伝えることも重要です。

一緒に表情筋トレーニングを行って、「笑顔」「声のトーン」「スピード」を意識して感じの良い挨拶を指導してみましょう。

お辞儀は360度見られている

お辞儀は、表情と違い、360度どこからでも見られます。また、少し離れた場所からでも、お辞儀をしている姿は見られています。

お辞儀は、研修の中でも特に課題が多く残るところです。
頭が入る、肩が入る、背中から曲がる、お辞儀のスピードが速すぎるなど、姿勢の癖や歪みが影響します。
けれども、指摘をしながら繰り返し練習を重ねれば、姿勢の歪みが改善され、徐々に綺麗なお辞儀を身につけることができます。
研修の開始と終了時には挨拶をしますが、綺麗なお辞儀を見るととても気持ちが良く、受講者自身が自信に満ち溢れた印象に変化すると、私まで嬉しく感じます。

お辞儀する女性の写真

お辞儀の指導のポイントは、「お辞儀の姿勢」と「目線」です。
「お辞儀の姿勢」は、腰を引き、腰から頭までを一直線にすることがポイントです。
「目線」は、軽くアゴを引いた状態で、「会釈」は5m先、「敬礼」は3m先、「最敬礼」は1m先の床を見ると、自然と角度が決まります。
また、お辞儀をしたら頭を下げた状態で一旦止め、頭を上げるときには下げたときよりゆっくりしたスピードで起き上がると、丁寧で余韻のあるお辞儀に見えます。

逆に残念なお辞儀は、頭が入ったり、背中から曲げた状態でのお辞儀です。頭を下げたときに自分の足や靴先が見えている場合は、頭や背中が曲がったお辞儀をしている証拠です。
また、お辞儀のスピードが速すぎると、ただ頭を下げただけの形だけのお辞儀になり、相手に不快な思いをさせてしまう恐れがあります。

綺麗なお辞儀を身につけたら、一生ものです。
お辞儀は、繰り返し練習が必要ですが、挨拶は日々行うので、綺麗なお辞儀が身につくまでは、毎日1日1回のチェックをしてあげてくださいね。

新入社員から元気で明るい挨拶があると、こちらまで元気になりますね。
感じの良い挨拶をすると、好印象にも繋がります。
指導をしてもなかなか伝わらないと、悩む方も多いですが、まずは先輩や上司になるあなたから率先して、感じの良い挨拶を行うのも効果的ですよ。
頑張ってください!

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このマナーについては、#マナーOJTインストラクター

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シニアマナーOJTインストラクター 大縣 真弓

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