部下や後輩の可能性を引き出す、上手な叱り方3つのポイント
2019/04/12
みなさん、こんにちは。
シニアマナーOJTインストラクターの大縣 真弓です。
4月から、後輩や部下を指導する立場になり、「叱る」必要が出てきた方もいらっしゃることでしょう。
「叱る」と「怒る」は、似ているように思われますが、実は大きな違いがあります。
皆さんは、この違いをご存知ですか?
・叱る……悪い点をとがめる
・怒る……不快・不満の気持ちを表面に表す。腹を立てる。
(出典:現代新国語辞典)
「叱る」は相手本位、「怒る」は自分本位であることが、大きな違いなのです。
部下を育成指導するときには、自分の感情でなく部下の行動に対して「叱る」ことが大切です。相手が納得する「叱り方」をすることで、部下を上手に育成していくポイントをお伝えいたします。
「叱る」ときは、感情移入はNG!
「叱る」は、事実に対して行うことが大切です。そう!あなたの感情はNGなんです。
とは言っても、部下を指導しているときに、「なぜできないの?」「こんな簡単なことなのに」と、感情的になってしまうことはありますよね。
けれどもこの感情を持ったまま指導すると、部下はあなたのことを「怖いな」「また怒ってる」と感じて、素直に聞く耳を持ちません。そうならないためにも、自分の感情は一旦置いて、事実を伝えることが大切です。
上司や先輩になると、「部下とは」「新入社員とは」と、自分の理想を部下に託してしまいがちです。この理想が現実の部下とのギャップを生み、「なんでこんなことがわからないの?」と、「怒る」原因になってしまいます。
自分の感情に任せて指導してしまうと、それは「叱る」ではなく「怒る」ことになってしまいます。
「叱る」ときには、「なんでできないの?」ではなく、「〇〇ができていないから、●●(具体的行動)をしてみて(してみよう)」と、具体的に伝えてみましょう。
部下の行動が周りの迷惑になるときは、「そうなると(皆に)迷惑がかかる」「(私が)困ってしまう」など、IメッセージやWEメッセージで伝えるのも効果的ですよ。
私がエステ会社で働いていたときに、部下にバックヤードにあるタオルを畳んで棚に積むことを頼んだところ、見た目がガタガタの状態で積まれていました。
気持ちよく使うためには常に綺麗に積まれているのが当たり前と思っていた私は、何も言わず、ただ「やり直し」と、感情むき出しに伝えてしまいました。きっととても怖い顔だったでしょう。
言われた部下は、意味もわからず恐縮するばかり。関係性が悪くなり、関係性を修復するためにムダな時間が必要になったのは、言うまでもありませんね。
「叱る」ラインを決めておく
新入社員を成長させるために、仕事の指導を1人だけで担当することは少ないでしょう。
通常は複数の人が関わるので、そのためには共通のルールを決めておくことが大切です。もしくは、指導をする人が「叱る」役目はすべて引き受ける、など統一することが、混乱をしないポイントです。
指導する人によって「叱る」基準が違うと、同じことを言っているつもりでも、何も知らない新人社員にとっては、まったく違うように指摘されたと聞こえてしまいます。どれが正しいのか判断ができなくて、混乱の原因になってしまうのです。
新入社員は、「叱られたこと」をよく覚えています。
「あの人はこう言ったのに、この人はこう言う」「どれが正しいんですか!」と、逆に詰め寄られることがありました。
そこで、誰もが同じ基準で指導ができるようにするために、ルール作りをし、指導や叱ったことの内容を常に共有していました。どのような言葉で叱ったのか、詳しく共有することで、指導方法のすれ違いをなくすようにしました。
こうして細かく決めてからは、不満の声は無くなりました。
スクスク成長してもらうためには、手間は惜しまないであげましょうね。成長したときに、ここまでしてもらっていたと知ったら、感激してもらえますよ。
叱るタイミングは新鮮なうちに
叱るタイミングはとても重要で、原則は「そのとき」、タイムリーさが求められます。ときには状況的に難しいこともありますが、直後に叱ることで、理解が深まります。
忙しくてついつい時間が経ってから叱っても、時すでに遅しです。
部下に「いまさら?」と思われてしまい、大切な言葉も響きにくいのです。また、間違ったことが「許されている」と勘違いしてしまい、同じミスを繰り返す原因にもなってしまいます。
自分ではすぐに叱れない場合は、周りの方にも協力してもらえるように準備も必要です。
小さなミスだったので、叱るより自分で直した方が早いと、良かれと思ってしていたフォロー。しかし、いつまで経っても直らないので、のちに叱ったところ、ミスをしているとはまったく気がついていなかった、ということもありました。
些細なことでも、面倒くさがらずすぐに言うことが本当の優しさなんです。
褒めるに比べて「叱る」は、「嫌われるかも」「めんどくさい」と叱る人も大変気を使いますよね。しかし、部下を正しく叱ることは、さらなる成長に大きく繋がります。
叱るときは相手の成長を願って、前向きにとらえて愛のある「叱り方」をして下さいね。そのあとにできたときは、しっかり「褒める」ことも忘れずにして下さい。
心地よい人間関係を築くヒントをお届けする「Manner Up Magazine(マナーアップマガジン)」
思いやりの心を行動で表すためのアイデアが詰まったウェブマガジンです。お役に立てれば幸いです。
このマナーについては、#マナーOJTインストラクター
日本マナーOJTインストラクター協会
シニアマナーOJTインストラクター 大縣 真弓
講師大縣 blog