Menu ×

Manner Up Magazine > ユニバーサルマナー > 接客業の方必見!「ユニバーサルマナー」ってどんなマナー?
いろんな人が手を繋ぎ生きる社会のイメージ

接客業の方必見!「ユニバーサルマナー」ってどんなマナー?

2021/11/05


みなさんこんにちは。
マナーOJTインストラクターの安徳 美妙です。

緊急事態宣言も解除され、いよいよ新しい生活様式を踏まえた次のステップに進んだという実感を得られる、今日この頃ですね!

先日私は、仕事の一環として『ユニバーサルマナー』の講習を受ける機会がありました。
ユニバーサルマナーという言葉、最近よく耳に、目に、入ってきませんか?
接客業に従事されている方であれば、特に気になるキーワードかもしれませんね。

とはいえ、このウェブマガジンの読者の方でも、「ユニバーサルマナー知ってます!普段から意識しています!」と胸を張って言える方はまだ多くないと思います。

このコラムでは、「ユニバーサルマナーってどんなマナー?」という基本的なところから、明日からスグにでもあなたのお店や、接客シーンで活かせるユニバーサルマナーの知識とこれだけはおさえておきたいポイントについて。マナー講師の視点でお伝えします。

ウィズコロナを見据え、新しい生活様式にあった店舗運営をご計画の方は、参考までにご一読ください。

ユニバーサルマナー 目的と意味を理解して上手く取り入れてみよう

ユニバーサルマナーとは、多様な方々に配慮する心がけ(マインド)や行動(アクション)のことで、他の一般社団法人でも検定資格として、ユニバーサルマナーについて学べる様々な講座を開かれています。

ユニバーサルという単語には「宇宙の」「世界中の、万人の」という意味から「普遍的な」「万能な」などの意味があります。

ユニバーサルを冠することから、ユニバーサルマナーには、世界中の方、高齢者も障がい者も、ベビーカー利用者も、外国人も含め多様な方々が行動しやすいように、“自分とは違う誰かのことを考えられる社会。困っている人がいたら行動し、助け合える社会。皆が安心して、心から楽しく過ごせる社会。”そのためのマインドとアクションだと定義されています。
(ユニバーサルマナーとは|一般社団法人日本ユニバーサルマナー協会)

2015年の国連サミットで、全会一致にて採択されたSDGsでも、誰一人取り残さない持続可能で多様性と包摂性のある社会実現のためにと、この精神が触れられています。

すべての人が、働きがいのある雇用につくことを促進すること、都市および居住空間を実現することなどがまさにそれです。
ユニバーサルマナーは、まさにこれからのマナーですね。
(SDGsとは?|外務省)

私も、以前勤めていた職場で、聴覚障がいの方と働いた経験があります。
その同僚は会話をする際は、相手の唇の動きを読むことで理解していました。

私も話すときには、普段より少し口をはっきりと動かすことを意識するくらいで、業務上でも、休憩時間の会話でも、コミュニケーションに困るようなことはほとんどありませんでした。

しかし最初のうちは、私自身が障がいのある方と働くのが初めてだったこともあり、「上手くコミュニケーションとれるだろうか」と、知らず知らずのうちに心配していました。
今にして思えば、気を回し過ぎた上でのぎこちない行動が、いっそ不自然で分かりにくかったな…という反省もあります。
笑顔で話すビジネスパーソン
ユニバーサルマナーとは、『すべての人が社会で活躍するために、サポートが必要だと思ったときに、行動を起こすこと』と覚えておけばよいでしょう。
これは、『思いやりの心を行動であらわすのがマナー』といつもお伝えしている私たちJAMOIの精神そのものです。

では、その時、『サポートが必要だ』と思われる人と街で出会ったとき、どのように行動を起こせばよいのでしょうか?

そこに外したくないポイントがあります。

声かけの基本は?イエスと返事しやすいクローズドクエッション

街でサポートが必要そうだな、と思われるシチュエーションに遭遇したとき、あなたはどうしますか?

困っていることがないか、サポートできることはないか、「声をかけようかな?」と思うものの、「でも本人は全く困っていないかもしれないのに、迷惑かしら・・・?」と躊躇してしまうかもしれません。その気持ちは、私もすごくよく分かります。

今回の講習で驚いたことのひとつに、実はその「大丈夫かな???と気にかけているけど、声掛けをしようかどうか迷っている視線と雰囲気」というのが、ご本人にものすごく伝わっていて、それがストレスと感じる場合も多いというお話でした。

サポートが必要かもしれない、自分にできることがあるかもしれない、と思ったらパッと声をかけること。

それが求められる「心がけ」と「行動」ということでした。

また、声をかけるときについ「大丈夫ですか?」と言ってしまいがちです。
「大丈夫ですか?」と、たずねられると、声をかけられた側も、実は手伝ってもらえると助かるなという気持ちがあったとしても、「大丈夫です」と答えてしまうことが多いのだそうです。
これは、とても不幸なミスマッチですね。
質問に対してノーと答えにくい文化的な面も多分にありそうですね。

こうしたときは、イエスと答えやすいたずね方をすることが大切です。

「何かできることはありますか?」
「お手伝いすることはありますか?」
と聞くことで、
「はい、ありがとうございます」と答えやすい。

お互いにとって心地よい結果が導き出せる、声のかけ方ですね。

もちろん、本当にサポートを必要としていない場合もあると思います。
そんな場合でも
「お手伝いすることはありますか?」
「ありがとうございます!でも大丈夫です」
これでなんの問題もありません。
車いすを押す手
声をかけようかどうしようか迷いながら、じりじり、もじもじとした時間で相手にストレスをかけることもなく。
声をかけずに立ち去った後の「あのとき声をかけるべきだったなぁ…」と、もやもやすることもありません。

この「大丈夫ですか?」という声かけを言い換えることは、日常生活でも同じだと感じます。

職場で忙しくて大変そうな雰囲気の同僚に対して、またはいつもと様子が違う後輩や部下に対して、「大丈夫?」の声かけは相手から本心を聞き取れないことが多いように思います。

具体的にできることがあればそれを提案してみる。
もしくは、「何かできることはある?」と聞くことで、自分には手伝う準備があるよ、支えたいと思ってるよ!という気持ちを伝えることができますね。

あなたのお店で活かせる ユニバーサルマナー

接客業に従事されている方は、お客様として来られた際には、『まずは、迷わずパッと声かけ』の心がけが基本ですが、それに加え知っておくと役に立ちそうなノウハウをいくつかご紹介しますね。

筆談は横書きで

筆談が必要な方に対しては、こちらが伝えたいことを書く場合は横書きで、簡潔に、を意識しましょう。
たて書きだと右利きの場合書き進むにつれて文字が隠れてしまうので、横書きで。

漢数字よりもアラビア数字(1、2、3…)の方が読み間違いがなく推奨されます。

また質問に対してAor Bの選択肢を指さしで答えられるような書き方にする、などの工夫もスムーズな筆談のコツですね。

標識の意味を知る

東京オリンピックでも話題になったピクトグラム。
日常の中でも様々な標識として活用されています。

公共機関や商業施設で見かける犬のイラストが描かれた「ほじょ犬マーク」
これは、補助犬を同伴して利用できますよ、という施設側からの案内です。

ほじょ犬マーク

「ほじょ犬マーク」は、身体障害者補助犬法の啓発のためのマークです。

ちなみに補助犬には車いすの方などをサポートする介助犬と、視覚障がいの方をサポートする盲導犬、聴覚障がいの方をサポートする聴導犬が含まれています。

すでにご存知だとは思いますが、お仕事中の補助犬に触れたり、声をかけたり、気を散らすような行為はNGです。
どんなに可愛くても、お仕事に集中できるように、そっと見守りましょう。

『あります』『必要です』 標識には2つの意味があることを理解

オストメイトマークは、本人が「オストメイトです」と意思表示する場合、「オストメイト対応設備があります」どちらにも使われます。

オストメイトありのトイレマーク

オストメイト用設備/オストメイト

多目的トイレの表示も、よく見比べてみるとオストメイト表示があるものとないものがああります。
あなたの施設のトイレや、お店の近隣のトイレについては把握しておくとスムーズに案内ができますね。

レイアウトは導線でチェック

ベビーカーや車椅子が余裕をもって通行できるのには、80㎝以上の通路幅が必要となるそうです。

その幅が確保出来ているか、また、小さい子どもやベビーカーから手が届く場所に、繊細な壊れ物や危険な物を配置していないか。

そうしたことを意識して商品を陳列するだけでも、利用する側にとってはすでに十分なサポートとなります。

通路の段差をなくすなどの、ハード面はすぐに変えることができません。
しかし、心の準備はそれほどむずかしいことではありませんね。

サポートが必要になったときにいつでも行動できるように。
大切なのは、日頃から自分と違う立場の人にも意識を向けておくという「心がけ」です。

こうした心掛けが接客業に従事する人にとってのユニバーサルマナーの基本だと私自身は感じています。

今回は高齢者や障がい者、ベビーカー連れの方などに対しての心がけ、行動についてのお話が中心となりました。

冒頭でもお伝えしたように「ユニバーサルマナー」とはそもそも外国人の方、異なる信仰を持つ方、LGBTの方なども含む“多様な人々に配慮する心がけや行動”のことです。

いつも心のどこかにこの意識をとどめておくことで、相手にとっても自分にとっても快適な時間が増えると思っています。

心地よい人間関係を築くヒントをお届けする「Manner Up Magazine(マナーアップマガジン)」
思いやりの心を行動で表すためのアイデアが詰まったウェブマガジンです。お役に立てれば幸いです。

#マナーOJTインストラクター養成講座 #ソーシャルマナー講座

日本マナーOJTインストラクター協会
マナーOJTインストラクター 安徳 美妙

講師 安徳 blog

<コラム内引用>
(ほじょ犬マーク|厚生労働省)
(オストメイトマーク|交通エコロジー・モビリティ財団)

あなたにおすすめの記事