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家族で微笑み草原に立つイメージ

子どもと一緒に学ぶ!家族のための個人情報保護について

2022/05/06


みなさん、こんにちは。
キッズマナーインストラクター、マナーOJTインストラクターの本田奈保美です。

昨今、個人情報の取り扱いが厳しくなっていますが、その重要性・危険性についてお子さんとお話しされることはありますか?

大人ほど理解は出来なくとも、子どもなりの理解・納得を促すことは保護者として大切な取り組みと言えます。

東京都には、次のような事例について相談が寄せられたそうです。
「小学生の子どもだけで自宅にいたときに電話がかかってきて、両親の名前や職業を聞かれるまま教えてしまったらしい。どこの業者かもわからないが、対処法がないか、不安である。」
留守がちなご家庭だと、しばしば起こり得る事例ですね。

この件に対する東京都のWEBサイトに掲載された解答は以下の通りでした。
⇒「個人情報の利用目的を理解できない子供から個人情報を取得することは不正な取得なので、利用停止又は消去を請求できます。」
相手が特定できれば、その情報の利用停止や消去を求めることが出来ますが、特定出来ない場合、対処は困難になりますす。
電話で小学生の子どもが個人情報を教えてしまった。対処方法はあるか。|東京くらしWEB

今年4月1日からは『改正個人情報保護法』も施行されています。
親子で個人情報保護について考える機会に、このコラムがお役に立てれば幸いです。

個人情報って?どうして大切なの?に分かり易くこたえるコツ

個人情報とはそもそもどんなものでしょうか。
個人情報とは特定の個人を識別できる情報のことです。

有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護するために、個人情報の適正な取扱いの確保を図る ことを任務とする個人情報保護委員会の説明を抜粋します。
『「特定の個人を識別することができる」とは、社会通念上、一般人の判断力や理解力をもって、生存する具体的な人物と情報との間に同一性を認めるに至ることができることをいいます。』
「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」及び「個人データの漏えい等の事案が発生した場合等の対応について」に関するQ&A|個人情報保護委員会

個人を特定できる情報は個人情報に該当するので、例えば生年月日や性別・住所やマイナンバーなどは組み合わせなくとも容易に個人を特定することができる個人情報といえます。

この他にも学校名や銀行口座、場合によってはメールアドレスなども個人を特定することが容易であり個人情報となりえます。

お子さんが知っている家族の情報で、気安く外の人たちに話してほしくない情報については、あらかじめ個人情報であることを説明しておくとよいでしょう。

お子さんにとって関わりの深いものや身近なものを選んで説明しておくのもよいでしょう。

また、個人情報は、何故保護する必要があるのでしょうか。
これは、個人情報が漏れた際の危険について、お子さんと一緒に考えることから保護の必要性が分かります。

例えばインターネット上に住所や電話番号が公開されれば、興味を持った人が自宅の周りをうろついたり、電話をかけてきたりといったストーカー行為に発展するかもしれません。

住所などの個人情報は、振り込め詐欺などの犯罪に使われる可能性もあります。
迷惑メールや勧誘電話が増加したり、架空請求の標的にされたり。
個人情報が漏れることは、金銭的・精神的に大きな被害を受ける可能性があります。

そうならないために、名前や住所、電話番号などの情報がどれだけ大切であるか、知らない人に簡単に教えてはいけないということをお子さんにしっかり伝えましょう。

お子さんに伝えるときには、お子さんの想像がおよぶ範囲の類例を示しながら伝えるとよいでしょう。
母子で話し合うイメージ
例えば、
「○○ちゃんの名前と同じ名前の子はたくさんいるかもしれないね。
同じ歳の○○ちゃんもたくさんいるかもしれないね。
だけど、『△□市に住んでいる○○ちゃん』だとどうかな?
あなたの周りに同じ名前のお友達はどれくらいいるかな?
そんなにたくさんいないよね。
その上、名字まで付けると、それはあなたしかいないってみんなにはすぐわかっちゃうね。
だから、インターネットとかSNSとかには、お名前や住所、それに顔写真も、安全のために載せないようにしようね。」
このように伝えるのはいかがでしょう。
お子さんの理解がおよぶ範囲で類例を示しながら説明をしましょう。

実名をSNSに載せてしまったばかりに、思いがけない誹謗中傷がされた場合、心に大きな傷をつけることになります。

大事な家族がこのような被害にあわないためにも。
お子さんと一緒に、個人情報の取り扱いについて考える機会をぜひ設けましょう。

子どもの個人情報とは?これくらい大丈夫?に答えるコツ

子供にとっての個人情報とは何でしょうか?
氏名、生年月日、性別はもちろん、学校名や学校の成績、どんな習い事をしているか、顔が映っている写真や動画なども、組み合わせることで、個人を特定することができれば、それらは全て個人情報となり得ます。

前述の個人情報に関わる危険性を考慮しながら、大切な個人情報を守るための具体的な行動についても伝えておきましょう。

個人情報を守るために気を付けたい行動
・知らない人に自分の名前や住所、学校名などをむやみに教えない
・クラスの友達の個人情報が載っている連絡網やプリントはなくさない
・卒業アルバムを人に貸したり、勝手にSNSなどインターネットにアップロードしたりしない
・SNSやオンラインゲームでは嘘のプロフィールを載せてだまそうとする人もいるから、SNSやゲームで知り合っただけの知らない人とは絶対に会わない
・知らない人からメールが届いても返信したり、添付ファイルを開いたりなしない

上記5点は、最近の子どもたちにはぜひとも守ってもらいたい約束ですね。

これらも、お子さんの年齢に応じた、状況を具体的にイメージ出来る説明で何故守らなければいけないのかを納得性高く伝えましょう。
個人情報保護の本イメージ
コラムの冒頭でも紹介した個人情報保護委員会は、個人情報を守るコーチであり審判のような役割を果たす内閣府の外局です。

保護者として個人情報の説明にあたって疑問に思うことがあり、お子さんに責任をもって説明を出来ない!と感じたときには、個人情報保護委員会のサイトで勉強して知識を仕入れるのもお勧めします。

個人情報のルールについての質問に答えてくれる相談ダイヤルもあります。
困ったことが起きたとき、判断に迷うときには利用してみるといいですね。

お子さんと大切な家族を守るために、正しい知識を授けるために。
保護者であるあなた自身も常に知識をアップデートする必要があります。
これは、教える立場である私たちマナー講師も常日頃、『錆びない講師』でいるために自己研鑽をしているのと同じことです。

大切な誰かのために、まずはあなた自身が情報を仕入れてみませんか?

「私の名前も伝えたかったな」あなたがこの子の保護者ならどうこたえますか?

2018年に、当時9歳の女の子の投稿が朝日新聞に掲載された投書です。

下校中に出会ったおばあさんに名乗れなかったことを悔いている女の子に、あなたならどうこたえますか?

この問いかけに正解はあるのでしょうか。
まずはこの投稿をご一読いただき、考えてください。
2018年朝日新聞の記事
皆さんはどう感じましたか?

学校の登下校時や友達と遊んでいるとき、近くのコンビニに行くとき、こんな場面に出くわすことは考えられますね。

保護者として考え、そして出来ればお子さんも一緒に、こんな時はどうするか。
どうするのが良いのかを話し合ってみてください。

繰り返しになりますが、正解はありません。
ですが家庭ごとに答えは決まってくるかと思います。

どんなときなら相手を信じて良いのか。
どうなればその人は赤の他人ではなくなるのか。

考えて、考えて答えを出す。

そんな時間を家族でももつことをお勧めします。
家族で微笑み草原に立つイメージ
大切な子供や家族が被害に合わないために、個人情報とは何か、漏れることでどのような危険があるのかを話し合う時間を早い段階でもつことを強くお勧めします。

企業における経営資源は、かつては『人、物、金』と言われていました。
そこに『情報』が加わり、『個人情報』も企業の戦略に不可欠なものとして収集、蓄積、利用が日常的に行なわれています。

一方で、個人自らの個人情報の漏洩から、不正利用される被害の危険性も高まっています。

ますます進む情報化社会の中で、主体的に活躍できる大人になってほしいからこそ、子どもたちには基礎的な知識をしっかり身につけておいてほしいものです。

子ども時代の不用意な行動が、未来に影を落とさないためにも。
一度家族でしっかり『個人情報保護』について話し合ってみる時間を作るのも良いでしょう。
その際は、保護者であるあなたがしっかりとした知識と姿勢でもって臨まれることが肝要ですね。

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マナーOJTインストラクター 本田奈保美

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