外国人部下の求めるワークライフバランスを理解し 円滑な職場環境を築くために
2020/07/17
皆さんみなさん、こんにちは。
トップマナーOJTインストラクターの石井由美子です。
外国人部下を迎えるにあたり、事前に情報収集をされている方が大勢いらっしゃいます。
様々な国からやって来る人材の良いところを活かし、仕事をスムーズに進めるためにまず受け止めていただきたいのは、文化の違いです。
中でも、生活を充実させることで仕事の質を上げる、その逆に、仕事がうまくいけば私生活も潤うといった具合に、ワークライフバランスに重きをおく考えの外国の方は少なくありません。
せっかく迎える外国人部下を人財として活用するために。
航空会社で外国人と仕事をした経験と、外国人学生へのキャリア指導、管理職マネジメント講師の立場からお伝えします。
まずはワークライフバランスを理解しよう
ワークライフバランスは1980年代の欧米において、「子育て」「長時間労働」などのストレスを抱える労働者のために使われたのが始まりです。
日本では、政府が「働き方改革」を提唱したことで、ワークライフバランスが注目されるようになりました。
過重労働などは、メンタルヘルスやハラスメントにもつながる懸念材料となることもありますので、企業が取り組むべき課題にもなっています。
取組む企業が多い一方で、日本のワークライフバランスは、海外での評価はあまり高くありません。
日本人の意識には、まだまだ『仕事のためにプライベートが犠牲になるのはしかたなく、また、それはあえて言わなくても共通の認識である』という考え方があります。こうした考えに直面した外国人は、ギャップを感じ、大きな失望となることもあります。
外国人スタッフであっても、切迫した状況であれば、残業や、休日出勤などの、私生活をおくるべき時間帯に業務が食い込む事態も理解し、協力してくれます。しかし事前に説明もなく、いわばサービス残業が日常的に発生するかたちの勤務体系には、不満を抱きやすいです。それは、今どきの若い人も同じですね。
また、人口減少を食い止めるため、介護要員確保のため、女性のマンパワー活用という視点から始まった日本のワークライフバランスの捉え方ですと、中には「独身なら少し無理して残業してもいいのではないの?」と、考える方もいらっしゃるかもしれません。
知り合いのアメリカ人男性が、「独身だからいいよね」と自分や日本人同僚に対して暗黙の了解があることに対して、戸惑いを感じると言っていたことを思い出します。
日本人の社員の不満につながらないようにするために
日本人にとって仕事の終わりは、区切りのいいところという考えがあります。
それに比べて「仕事の終わりは就業時間」という考えの外国人スタッフは、定時になればさっさと帰ってしまいます。そうした態度を、非常にドライで扱いにくいと感じる日本人もいます。
それが不満につながると、社内の雰囲気は良くないものになります。
もしあなたの外国人部下が、与えられた仕事を勤務時間内に終わらせないまま、定時に帰っているようなら、優先順位をたて、計画的に仕事をするように指導しましょう。
外国人は同僚が残業をしていたら「何か手伝うことはない?」と声をかけるとよく聞きます。けれども、恒常的に残業している日本人を見て、時間内に仕事を終わらせることができないのは能力がないからと受け止め、無駄な残業費の発生に対して不満に思っているかもしれません。
働き方改革が叫ばれる昨今、残業は良いことではない。恒常的に残業している日本人部下にも、時間内に終わらせる工夫や対策を考えようと提案するのも一つの方法です。
企業風土とワークライフバランス 最適解を考え実践しましょう
外国人部下に対して、日本企業でのやり方、企業風土というものをあらかじめ説明し、納得しておいてもらうことも大切です。
繁忙期や決算時、人手不足が予想されるときなどは、あらかじめ残業の可能性や、予期せぬ仕事への対応について協力をしてもらえるよう、事前に話し合いをしておきましょう。これは日本人部下に対しても同様です。事前に説明することが円滑なコミュニケーションにとって重要です。
加えて、業務内容の見直しや最適化について、日本人部下からも、外国人部下の視点からもアイデアを募るのも良いことです。
多様なアイデアや意見は、思いがけない発見もあります。
上司がオフィスにいると帰りにくいという意識。
こうした意識も、日本人の中にはまだまだ見られることがあるようです。
上司自ら、企業風土とワークライフバランスに則ったお手本を示すことで、職場の雰囲気も変わります。
新型コロナウイルスへの対応として、テレワークをはじめ働き方に対する意識は変わってきました。
ワークライフバランスについて、今一度考えることで、あなた自身の100年人生のこれからについて考えるよい機会となるかもしれませんね。
心地よい人間関係を築くヒントをお届けする「Manner Up Magazine(マナーアップマガジン)」
思いやりの心を行動で表すためのアイデアが詰まったウェブマガジンです。お役に立てれば幸いです。
このマナーについては、#インバウンドコーチⓇ #英語接遇ベーシック認定講座
日本マナーOJTインストラクター協会
トップマナーOJTインストラクター 石井由美子
講師 石井由美子blog